2019年7月3日水曜日

森林法共有林事件って何?行政書士試験で頻出の重要判例

【重要判例】森林法共有林事件/最大判昭52.4.2



どうもTakaです。
今回は憲法29条1項の「財産権」の保障の意味や
持分価値2分の1以下の共有者からの分割請求を禁止した森林法の規定は、
憲法29条2項に違反しないかが争点となった「森林法共有林事件」について
紹介したいと思います。

第二十九条 
一項
財産権は、これを侵してはならない。
二項
財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

森林法共有林事件の内容


AさんとBさんの兄弟は父親から山林を譲り受けましたが、
各自2分の1の割合でその山林を共有していました。
弟Aさんは、兄Bさんに対して、共有山林の分割を求めて訴訟を提起した。
しかし、持分価値2分の1以下の共有者からの分割請求を禁止した森林法旧186条の規定により、分割請求が認められなかった。そのため、Aさんが、森林法旧186条の規定は憲法29条1項の財産権の保障に違反するとして争った事件です。

森林法第186条
森林の共有者は、民法第二百五十六条第一項(共有物の分割請求)の規定にかかわらず、その共有に係る森林の分割を請求することができない。但し、各共有者の持分の価格に従いその過半数をもつて分割の請求をすることを妨げない。

森林法共有林事件の争点


①憲法29条1項の「財産権」の保障の意味とは何か?

②持分価値2分の1以下の共有者からの分割請求を禁止した森林法の規定は、憲法29条2項に違反しないか

判決のポイント


1. 憲法29条1項の「財産権」の保障とは、
①個人の現に有する具体的な財産権の保障
②私有財産権の保障
の2つを意味します。すなわち、人権保障と制度的保障です。

2. 憲法29条2項に違反しないか
違反している。
森林法旧186条の規定の立法目的は、森林の細分化を防止することで、森林経営の安定を図り、もって国民経済の発展に資することにありました。しかし、この立法目的の達成との関係において、持分価値2分の1以下の共有者からの分割請求を禁止した規定に合理性と必要性を認めることはできないので、違憲であると判断されました。

判決要旨(最高裁判所HPから抜粋)


一 森林法一八六条本文は、憲法二九条二項に違反する。

二 民法二五八条により共有物の現物分割をする場合には、その一態様として、持分の価格を超える現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせて過不足を調整することも許される。

三 数か所に分かれて存在する多数の共有不動産について、民法二五八条により現物分割をする場合には、これらを一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの不動産を各共有者の単独所有とすることも許される。

四 多数の者が共有する物を民法二五八条により現物分割する場合には、分割請求者の持分の限度で現物を分割し、その余は他の者の共有として残す方法によることも許される。
(一につき補足意見、意見及び反対意見、二、四につき補足意見がある。)

➡️【リンク】最高裁判所HP・・ 昭和59(オ)805

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