2019年7月4日木曜日

【行政書士試験・憲法】7. 国会・・・国会についてわかりやすく説明

7. 国会






どうもTakaです。今回は、行政書士試験の憲法の範囲「国会」について紹介しようと思います。




国会の地位・権能



国会の地位


1. 国権の最高機関

憲法41条前段は、国会を国権の最高機関としています。

第四十一条  
国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

2. 国の唯一の立法機関

憲法41条後段は、国会を国の唯一の立法機関としています。
立法を行う国家機関は原則として国会だけであり(国会中心立法の原則)、立法行為に国会以外の機関が関与してはならないのが原則であるといっています。(国会単独立法の原則)

3. 国民の代表機関

憲法前文第1段は、代表民主制を原則とするといっています。
そして、憲法43条第1項は、国会議員を全国院の代表であるといっています。

第四十三条  
両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。

国会の権能


1. 法律の制定


国会は、立法機関ですから、国会には法律を制定する権能があります。
法律は原則として両議院で可決したときに成立します。
衆議院が可決した法律を参議院が否決するなど異なった議決をした場合、
衆議院は意志の統一を目指して両議院の協議会の開催を求めることもできます。
しかし、この開催は義務ではなく、衆議院にh、再可決という手段もあります。
衆議院が出席議院の3分の2以上の多数で再び可決すれば、衆議院の意思どおりに法律として成分するのです。
参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に議決しない場合、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができます。


2. 予算の議決


予算の作成には、専門的な知識が必要です。
そのため、予算の作成は、内閣の専権とされています。
しかし、予算んは、国会の審議を受け、議決を経なければなりません。

第八十六条 
内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。


予算は、政策の指針となり、国政の方向を決定づけるものだからです。
予算についても、衆議院の優越が認められており、衆議院に先議権があります。

第六十条 
予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。○2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする

3. 条約の承認


条約の締結には、専門的知識に基づく柔軟かつ迅速な対応が必要ですから、
その締結権は、内閣にあります。
条約は、国家の運命や国民の権利義務に直接関係するため、
国会に承認権が認められています。条約の承認手続は、予算の議決と同じです。
ただし、衆議院の先議権は認められていません。

4. 内閣総理大臣の指名


国会には、内閣総理大臣を指名する権能もあります。
内閣総理大臣を早期に選出するため、内閣総理大臣の指名についても、
衆議院の優越が認められています。衆参両議院が異なった議決をした場合、
両議院の協議会を開いてもいけんが一致しなければ、
衆議院の議決が国会の議決になっています。また、衆議院が指名の議決をした後、
国会休会中の期間を除いて10日以内に、参議院が指名の議決をしない場合には、
直ちに、衆議院の議決が国会の議決になります。

5. 弾劾裁判所の設置と憲法改正の発議


弾劾裁判所の設置と憲法改正の発議も国会の権能です。
これらに関しては、衆議院と参議院は対等です。優越はありません。


国会の活動


1. 会期制


国会は、一定の期間を限って活動能力を持つ会期制を取っています。
国会の会期には、常会、臨時会、特別会という3種のものがあります。

①常会(毎年1回召集)
一般に国会と呼ばれているものです

②臨時会

③特別会
衆議院の解散・総選挙後に召集される国会の会期です。

衆参両議院の会期は同じです。そのため、衆議院の解散により、参議院も閉会となります。

第五十四条   
衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。 
○2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。 
○3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。


また会期の議決については、衆議院の優越が認められています。
各会期は独立しています。そのため、憲法に規定はありませんが、会期中に議決されなかった案件が次の会期で継続審議されることは、原則ないとされています。
(会期不継続の原則)。また、否決された案件を同一会期中に再提出することは、原則としてできないとされています。


2. 国会の召集


国会の会期を開始させ、国会に活動能力を当てる行為を召集と言います。
国会の召集を決定するのは内閣です。明文の規定があるのは臨時会だけですが、
常会も当別会も、内閣に召集決定権があると解されています。
そして、天皇が国会を召集します。
→天皇の権能

3. 参議院の緊急集会


衆議院が解散されると、参議院も同時に閉会になります。
総選挙により種議院の新しい構成が決定し、特別会が召集されるまでは、
参議院も活動を停止するのが原則です。
憲法54条は、衆議院の解散総選挙による空欄を埋め、
緊急事態に対処するために、参議院の緊急集会という制度を用意しています。
参議院の緊急集会を求めることができるのは、内閣です。
緊急集会の必要性の判断は、専ら内閣に委ねられており、
参議院議員がこれを求めることはできません。
参議院の緊急集会は、国会の権能を代行するものですから、
法律、予算など国会の権能に属する議決を行うことができます。
しかし、参議院の緊急集会での措置は、暫定的なものにすぎません。
特別会召集後10日以内に衆議院が同意しないと、緊急集会で採られた措置は、
将来に向かって効力を失います。

4. 定足数と表決


両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、
議事を開き決議することができません。定足数は総議員の3分の1です。
そして、議事は、原則として出席議院の過半数で決し、
可否同数の時は、議長が決します。

第五十六条 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。


5. 会議の公開


衆参両議院の本会議は原則として公開されます。
ただし、出席議院の3分の2以上の多数で議決すれば、
秘密会として公開しないことができます。
出席議員の3分の2以上が賛成しさえすれば、会議の内容を問わず、
秘密会を開催することができるのです。

第五十七条  
一項
両議院の会議は、公開とする。
但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、
秘密会を開くことができる。
 
二項
両議院は、各々その会議の記録を保存し、
秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、
これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
 
三項
出席議員の五分の一以上の要求があれば、
各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。


議院の権能



議院の自律権


1. 議院の自律権って何?


議院の自律権とは、行政権・司法権、そして他の議院からの干渉を排除して、
各議院が自主的に内部事項を決定することのできる権能です。
役員選任権・議院規則制定権・懲罰権・議員の資格に関する裁判権が代表例です。
衆参両議院には、それぞれ自律権が認められています。

2. 役員選任権


衆参両議院には、自律権の一つとして、役員選任権があります。
衆参両議院はそれぞれ議長そのほかの役員を自主的に選任することができるのです。
憲法58条

3. 議員規則制定権


衆参両議院には、自律権として議院規則制定権が認められています。
議院規則というのは、各議院が単独で制定する法形式のことです。

4. 議院の懲罰権


衆参両議院には、自律権として、議院の懲罰権もあります
。院内の秩序を乱した議員を懲罰することができます。
ただし、懲罰として議員を除名(議院の資格を奪うこと)するためには、
出席議員の3分の2以上の多数による議決が必要とされています。

第五十八条 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。


※ちなみに、浦安鉄筋家族でお馴染みのあのお方も懲罰委員会の懲罰権により登院停止30日の処分を受けました。




5. 議員の資格に関する裁判権


衆参両議院には、自律権として、議員の資格に関する訴訟を裁判する権限もあります。
所属議員に被選挙権があるか否か、または、兼職が禁止されている公職についているか田舎についての争いについて裁判をする権限もあるのです。
ただし、議員の資格を失わせるには出席議員の3分の2以上の賛成による議決が必要です。

第五十五条 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

議員の資格に関する議員の裁判に対して不服があっても、
裁判所へ出訴することは許されないと解されています。


議院の国政調査権


1. 国政調査権とは何か?


国政調査権とは、衆参両議院が国政に関する調査を行う権能です。
憲法62条は、単に調査を行うだけではなく、
証人の出頭・証言や記録の提出も要求できる強力な国政調査権を認めています。

第六十二条  
両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

2. 国政調査権の及ぶ範囲


国政調査権は、憲法上議院に認められた権能を補助するものであり、
国勢調査が及ぶのは、議院の権能の範囲内であると考えられています。(補助的権能説)
ただし、議院の権能は、法律案や予算案の審議を中心に極めて広範囲にわたりますから、国政調査権は、実質上国政全般に及びます。

3. 国政調査権の限界


思想・良心の自由やプライバシーの権能を侵害するような国勢調査は許されません。
また、判決批判を目的とする国勢調査は、判決確定後であっても許されません。
国勢調査といえども、司法権の独立を脅かすことは許されないのです。
そして起訴・不起訴について政治的圧力を加える目的での国勢調査や操作の継続に重大な支障を与えるような国勢調査もゆるされません。
検察権の適正な講師の支障となるような国勢調査は許されないのです。


議院の特権



不逮捕特権


憲法50条は、国会議員に国会会期中の不逮捕特権を認めています。
国会の会期中は、原則として逮捕されません。
院外での現行犯逮捕の場合と議院の許諾のある場合を除いて、
国会議員は会期中逮捕されません。また、会期前に逮捕されても、
所属議院の要求があれば、国会の会期中は釈放されます。
政治的な目的を帯びた不当な身体の拘束を防止し、
議院の自由な活動を保障しようというのです。

第五十条 
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。


免責特権


1. 免責特権とは?


憲法51条では、国会議員に免責特権を認めています。
免責特権とは、院内での議員の言論的活動に対しては、
院外での法的責任を問わないというものです。
一般国民であれば負う民事上・刑事上の責任を否定し、
院内での議員の職務活動の自由を保障しようというのです。
ただし、政治的責任を追及することはできます。
所属政党がその議員を除名したりすることはできるのです。

第五十一条 
両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。


2. 免責される行為


免責されるのは議院における職務として、議員が行なった行為です。
会期外であっても、国家いい議事堂の外であっても、
議員の職務として行われた行為は、免責の対象です。
そして、議員の職務活動を全うさせるために、演説・討論・表決だけではなく、
これらに付随して行われる行為も、免責されると解されています。
ただし、ヤジや私語は含まれません。


3. 歳費受領権


憲法49条は、衆参両議院の議員に、
国庫から歳費を受け取る権利を認めています。

➡政治資金による不当な支配を防止するため

第四十九条 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。


次は内閣と財政について紹介しています。
➡8. 内閣と財政

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