2019年7月11日木曜日

強制調停違憲決定事件って何?行政書士試験の重要判例・・公開を要する裁判とは何か?

【重要判例】強制調停違憲決定事件(適正な裁判手続)/最大決昭和35.7.6


裁判


どうもTakaです。今回は憲法82条により公開を要する裁判とは何かという点が争われた「強制調停違憲決定事件」について紹介したいと思います。

この事件は法令自体は合憲であるが、その法令を当該事件の当事者に適用する限りにおいて違憲とする適用違憲が下された有名な事件でもあります。

第八十二条  
一項
裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
二項
裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

強制調停違憲決定事件の内容


借家をめぐる争いにつき、調停に変わる裁判として、非訟事件手続法の規定を適用し、非公開で、かつ決定の形式を持って事案の裁断がなされた。これにつき、Aさんは、裁判を受ける権利の憲法32条、裁判の公開の同82条に反して違憲であると主張し、最高裁に特別抗告をしました。

第三十二条
何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

※非訟事件手続は、訴訟事件以外の裁判手続に関する法律であり、対審は非公開で行われる。

強制調停違憲決定事件の争点


憲法82条により公開を要する裁判とは何か?

判決のポイント


憲法82条により公開の対象となる裁判は、憲法32条と同じく純然たる訴訟事件の裁判を指すと判例ではいっています。

それでは、純然たる訴訟事件とは何か?

※純然たる訴訟事件
当事者の意思いかんにかかわらず終局的に事実を確定し、当事者の主張する権利義務の存在するかしないか(存否=そんぴ)を確認する裁判。

本件訴に対し、東京地方裁判所及び東京高等裁判所は、いずれも調停に代わる裁判をすることを正当としているのであって、裁判所の判断は、同法に違反するものであるばかりでなく、同時に憲法82条、32条に照らし、違憲であるとし、原判決を取り消し、事件をもとの裁判所へ送り返して,再度の審判を命じました。


➡【リンク】最高裁判所・・ 昭和26(ク)109


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