【重要判例】郵便法違憲事件/最大判平14.9.11
どうも。今回は国の損害賠償責任を制限している郵便法の旧規定は、憲法17条に違反しているかが争点となった、郵便法違憲事件を紹介したいと思います。
第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
郵便法違反事件の内容
不動産会社Aは、勝訴決定に基づき、Bに対する債権の弁済を得るため、裁判所に対してBの銀行預金の差押命令を申し出た。同裁判所は、差押命令を行い、命令正本を特別送達の方法で銀行宛に出したが、郵便業務従事者が私書箱に投函したため送達が1日遅滞し、差押えを察知したBが預金を引き出してしまい、不動産会社Aは債権回収の目的を達成することができなかった。そこで、不動産会社Aが、国に対して損害賠償を求めた。
※特別送達郵便とは、特別送達のための書留郵便の一種です。
公的機関(裁判・公正取引委員会・特許審判など)が確実に文書を送るため、送った相手に届いたことを証明するために使われる郵便物です。
郵便法違反事件の争点
国の損害賠償責任を制限している郵便法の旧規定は、憲法17条に違反するか。
第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
判決のポイント
書留郵便物について、郵便業事業者の故意・重過失によって損害が生じた場合に
不法行為に基づく国の賠償責任を免除・制限している郵便法の旧規程は、憲法17条に違反する。
特別送達郵便物について、郵便業務者の軽過失によって損害が生じた場合に、国家賠償法に基づく国の賠償責任を免除・制限している郵便法の旧規程は、憲法17条に違反する。
判決要旨(最高裁判所HPより抜粋)
1 郵便法68条及び73条の規定のうち,書留郵便物について,郵便の業務に従事する者の故意又は重大な過失によって損害が生じた場合に,不法行為に基づく国の損害賠償責任を免除し,又は制限している部分は,憲法17条に違反する。
2 郵便法68条及び73条の規定のうち,特別送達郵便物について,郵便の業務に従事する者の故意又は過失によって損害が生じた場合に,国家賠償法に基づく国の損害賠償責任を免除し,又は制限している部分は,憲法17条に違反する。
(1,2につき補足意見及び意見がある。)
➡️【リンク】最高裁判所HP・・ 平成11(オ)1767
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