【重要判例】帆足計事件/最大判昭33.9.10
どうもTakaです。今回は国民に海外旅行の自由は保障されているのかが争点となった、帆足事件について紹介したいと思います。
帆足事件の内容
元参議院議員であったAさん達は、ロシア(当時はソ連)のモスクワ市で開催される国際経済会議への出席を招請されたため、外務大臣に、会議出席を目的とするソ連行きの一般旅券の発給を申請した。ところが、外務大臣は、旅券法旧13条1項5号(現7号)の「外務大臣において、著しくかつ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞がると認めるに足りる相当の理由がある者」には一般旅券の発給をしないことができる旨の規定などを理由として、旅券発給の拒否処分を行い、その旨の通知をした。そのため、Aさん達は会議に出席できなかった。そこで、Aさんは海外渡航の権利を侵害されたとして、国に対して損害賠償を請求した。
※当時の状況
当時は、冷戦という国際情勢であったため、資本主義国である日本から社会主義国の中心国であるソ連へ渡航するということは、「日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞がある」として旅券の発給を拒否した。
帆足事件の争点
国民に海外旅行の自由は保障されているか?
憲法22条2項の海外に移住する自由には、外国へ一時旅行する自由も含まれるか?
外務大臣が旅券の発給を拒否をすることができることは憲法22条2項に違反するか?
帆足事件の判決のポイント
憲法22条2項の海外に移住する自由には、外国へ一時旅行する自由も含まれる。
海外旅行の自由は、外国移住の事由によって保障される。
第22条 2項 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
しかし、外国旅行の自由といえども無制限のままに許されるものではなく、
公共の福祉のために合理的な制限に服するものと解するべきであるといっています。
判決要旨(最高裁判所HPより抜粋)
一 旅券法第一三条第一項第五号は、外国旅行の自由に対し、公共の福祉のため合理的な制限を定めたもので、憲法第二二条第二項に違反しない。
二 原審認定の事実関係(原判決参照)、特に占領治下我国の当面する国際情勢の下において、外務大臣が上告人らのモスコー国際経済会議への参加を旅券法第一三条第一項第五号にあたると判断してなした旅券発給拒否の処分は、違法とはいえない。
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