【重要判例】宝塚市パチンコ条例事件/最判平14.7.9
今回は、地方公共団体が行政権の主体として、国民に行政上の義務の履行を求める訴訟は、法律上の訴訟に当たるかが問われた「宝塚市パチンコ条例事件」について紹介したいと思います。
宝塚市パチンコ条例事件の内容
兵庫県の宝塚市長は、同市パチンコ店等の建築等を規制する条例(8条)に基づき、同市内においてパチンコ店を建築しようとするAさんに対して、建築工事の中止命令を発したが、Aさんがこれに従わなかったために、宝塚市BがAさんに対し、工事を続行してはならないことを求める民事訴訟を提起した事件です。
宝塚パチンコ条例事件の争点
地方公共団体が行政権の主体として国民に行政上の義務の履行を求める訴訟は、法律上の訴訟に当たるか?
判決のポイント
地方公共団体が行政権の主体として国民に行政上の義務の履行を求める訴訟は、法律上の訴訟に当たる。
法律上の争訟として当てはまるものは
財産権の主体
行政権の主体(法律に特別な規定がある場合)
今回のケースは、財産権の主体とした訴えではなく。行政権を主体とした訴えでした。
地方公共団体が行政権の主体として、国民に行政上の義務の履行を求める対象は、法律上の争訟に限られ、国又は地方公共団体が、財産権の主体ではなく、もっぱら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は、法規の適用の適正ないし一般公益の保護を目的とするものであって、自己の権利利益の保護救済を目的とするものではないから、法律に特別の規定がない限り、裁判所の審判の対象とはならない。
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