2019年6月18日火曜日

【行政書士試験】一般的基本権と参政権・受益権・・トレーニング問題

【行政書士試験】一般的基本権と参政権・受益権のトレーニング問題


テスト


●次の問のうち正しいものには○、誤っているものには×をつけなさい。

★幸福追求権


(1)すべて国民は個人として尊重される、と憲法に明記されている。

○…憲法13条。国民が個人として尊重されることは、国家が基本的人権を尊重するための大前提である。


(2)国民の生命、自由、幸福追求に対する権利は、絶対的な保障が憲法の条文でうたわれている。

×…「公共の福祉に反しない限り」という留保つきで,立法や国政で最大の尊重を必要とするとされている(憲法13条後段)。

第十三条 
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。


★プライバシーの権利


(3)プライバシー権は、憲法に明記されていないので、憲法上の権利としては主張できないと考えられている。

X…憲法に明記されていない権利でも,憲法13条の幸福追求権を根拠として主張されている。


★法の下の平等


(4)すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、年齢、国籍、社会的身分または門地によって、政治的・経済的・社会的関係において差別されない、と憲法に明記されている。

x…憲法14条の平等原則だが、14条に「年齢」と「国籍」は明記されていない。実際に未成年者の法律行為は成人より制限されるなど年齢による差別があり、外国人の入国は日本人より制限されるなど国籍による差別もある。

第十四条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。


(5) 何人も承諾なしに写真撮影をされない自由があり、警察官が正当な理由もなしに個人を撮影することは、憲法13条の趣旨に反する。条例違反の学生デモを警察官が撮影することは許されないか?

 x…(条例違反という)犯罪が行われた場合で、その証拠保全の必要
性や緊急性があり、撮影が一般的に許容される方法で行われたときは、 憲法13条に違反しない


(6)日本人の父と外国人の母との間に生まれた子は、父と母が結婚していない場合、父に認知されたとしても、日本国籍を取得することができない。

x…日本人の父に認知をされれば、父母が結婚をしていなくても、子は日本国籍を取得できる。
【重要判例】国籍確認請求事件


(7)市区町村など行政の区割りを基本として選挙区をきめるため、1人の国会議員を選ぶ選挙人数に相当な差がでるとしても、 仕方のないことであり、最大 4.4 倍の差があったとしても憲法違反ではなく、選挙自体も無効とはならない。

×…国会議員1人当たりの有権者数に最大 4.4 倍の差があることは、憲法14条に違反し、違憲である。ただし、選挙自体は無効とはしない。
【重要判例】議員定数の不均衡訴訟
議員定数の不均衡訴訟最高裁は、選挙自体は無効とはしないが、違憲と判断した。


(8)刑務所(刑事施設)において、喫煙を希望して喫煙を禁止することは憲法13条の希望する受刑者に対する幸福追求権に違反する。

×…喫煙による火災発生・逃亡の恐れや、タバコは時好品にすぎないことなどから、禁煙程度の制限は合理的な制限であり、憲法13条に違反しない

(9)犯行当時に実名報道された犯罪事件に関して、相当の年月が経ってからまた実名報道をしてもプライバシーの侵害には当たらない。

×…犯行当時に実名報道された事件でも,相当の年月が経った後にまた実名報道をすることは特別な理由がない限りプライバシーの侵害に当たる。
【重要判例】ノンフィクション「逆転」事件


(10)スピード違反をした自動車に同乗していただけで、スピード違反を教唆したわけでもない同乗者を、自動速度監視装置 (オービス)が運転手とともに写真撮影をしてしまった場合、プライバシーの侵害に当たる。

×…自動速度監視装置(オービス)の写真撮影は,スピード違反という犯罪の証拠を保全した行為であり,運転手の近くにいるために除外で きない同乗者をいっしょに写真撮影したとしても憲法13条に違反しない。
【重要判例】自動速度監視装置事件


(11)民法 900条で非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1と規定しているが、これは憲法に違反しない。

〇…「法律婚の尊重」と「非嫡出子の保護」の調整をはかったもので 憲法に違反しない。


(12) 女性にのみ前婚の解消の日から6か月間の再婚禁止期間が設けられていることは、法の下の平等を保障する憲法に違反する。

× …民法733 条の規定であるが,懐胎した子の父を明確にして、父子関係をめぐる紛争を未然に防ぐためであり、違憲ではない。


(13)男性より女性のほうが年齢の低い男女別の定年制を定めた会社や団体などがあるとしても、体力や社会的な要請の違いなどからかんがみて、定年の差が5歳程度なら不合理な差別とはいえない。

×…女性ということで、通常の職務であれば,企業経営上要求される職務遂行能力に欠けるところはない。女性の定年年齢を男性より低く定めることは、女性であることのみを理由とする不合理な差別である。
【重要判例】日産自動車事件


(14) 社会保障上の施策で、福祉的給付を行う場合、日本国民を在留外国人より優先的にあつかうことは、憲法14条1項、憲法 25条に抵触し許されない。

×…社会保障上の福祉的給付を行う場合、日本国民を在留外国人より優先的にあつかうことは許される。憲法14条1項・25条に違反しない。
【重要判例】塩見訴訟


(15)在外邦人の選挙権が制限されることは物理的に仕方のないことであり、在外邦人が、選挙区での投票をすることはできず、選挙権が比例のみに限られていることは違憲とまでは言えない。

×…比例での在外選挙が実現しているように、選挙区の投票も困難とはいえず、在外邦人の選挙権が比例のみに限られていることは違憲である。


(16)憲法13条以下で保障される諸権利のなかで、「国民」を主語としている権利については、日本に在留する外国人に対して保証が及ばないとするのが判例である。

×…憲法第13条の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみを
その対象としているものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ。
【重要判例】マクリーン事件


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