11. 地方自治法
今回は、行政書士試験の行政法の分野「地方自治法」について勉強していきましょう。
地方自治法って何?
地方自治法は、憲法92条が定める地方自治体を具体的に定めた法律です。
憲法92条
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
地方公共団体の組織と運営については法律で定めるとして、具体的な定めを法律に委任しています。これに基づいて制定された法律が地方自治法です
地方自治の本旨
地方自治体の本旨とは、次のことに基づいて政治を行うと考えられています。
①住民自治
・・住民が自らの意思および責任に基づいて地方の政治を行うこと。
②団体自治
・・地方が国から独立して、自らの意思および責任に基づいて政治を行うこと。
地方公共団体の種類
地方公共団体とは、一定の地域を基礎として、その地域に住む住民を構成員としつつ、その地域における事務をその住民の自治によって処理する権能を認められた団体のことです。
この地方公共団体は、大きく分けて、普通地方公共団体と特別地方公共団体に分かれます。
普通地方公共団体
→都道府県
→市町村
・・・指定都市 人工50万人以上
・・・市町村
特別地方公共団体
→特別区(東京23区)
→地方公共団体の組合
→財政区
地方公共団体が行う事務の種類
地方公共団体が行う事務には、法定受託事務と自治事務があります。
1法定受託事務
法定受託事務とは、国または他の地方公共団体の事務のうち、法令によりその処理を委託された事務をいいます。
地方自治法2条
9項
この法律において「法定受託事務」とは、次に掲げる事務をいう。
一
法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであつて、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第一号法定受託事務」という。)
二
法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであつて、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第二号法定受託事務」という。)
自治事務とは、地方公共団体が処理すべき事務のうち、法定受託事務以外の事務のことをいいます。
地方自治法2条
8項
この法律において「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。
地方公共団体の権能
地方公共団体は、以下のそれぞれの機能を有しています。
①自治立法権
②自治組織権
③自治行政権
④自治財政権
それぞれの権能を細かく見てみましょう。
1. 自治立法権
自治立法権とは、地方公共団体が、その事務に関して自主法を定める権能をいいます。この地方公共団体の自主法のことを条例といいます。
地方自治法14条
1項
普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる。
3項
普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。
2. 自治組織権
自治組織権とは、地方公共団体が、その自治権に基づいてその そしき・運営等を定め、組織を構成する公務員を任命する権能をいいます。
3. 自治行政権
自治行政権とは、地方公共団体が事務を処理する権能のこといいます。
地方自治法1条の2
1項
地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
地方自治法2条
2項
普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。
4. 自治財政権
自治財政権とは、地方公共団体が、その事務に要する経費に充てるため、自ら必要な資金を調達し、および管理する権能のことをいいます。
必要な資金を調達するには、地方税で税金を徴収して、必要な資金を調達することになりますが、その地方税の徴収の根拠については、以下のように定められています。
地方自治法223条
普通地方公共団体は、法律の定めるところにより、地方税を賦課徴収することができる。
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