2019年11月9日土曜日

【行政書士試験・民法】18. 家族法(親子について)・・・押さえておきたいポイントをわかりやすく説明


18. 家族法(親子について)・・・行政書士試験の勉強で押さえておきたいポイント!親族についてわかりやすく説明


今回は、行政書士試験の民法の分野「家族法(親子)」について説明します。





親子


親子とは何か?


親子とは何か?


1. 実親子と養親子


親子には、実親子と養親子があります。実親子とは、血縁関係のある親子です。これに対して、養親子とは、血縁関係はないけど、法律上親子関係が認められたものです。


2. 嫡出子と非嫡出子


血縁関係のつながりがある子を実子といいます。

民法は、これを2種類に分け、

・婚姻関係(結婚している)関係にある男女間に生まれた子 
➡ 嫡出子:ちゃくしゅつし

・婚姻関係にない男女間に生まれた子供
➡非嫡出子:ひちゃくしゅつし

としています。

嫡出子:ちゃくしゅつし


1. 嫡出性の推定


妻が婚姻中に懐妊した子は、嫡出子と推定されます。そして、婚姻成立日から200日後、解消の日から300日以内に生まれた子は、婚姻の中に懐胎(かいたい)したものと推定されます。

民法772条 
1項 
妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。 
2項 
婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。



ただし、判例では、夫婦が、離婚の届出の約2年半前から別居して全く交渉を絶ち、夫婦としての実態を失っていたような場合は、民法722条2項を適用すべきではないといっています。嫡出子としての推定が及ばないということです。


2. 嫡出否認の訴え


嫡出性が推定される場合、夫が親子関係を否定するためには、夫はこの出生を知った時から1年以内に、子または親権を行う母に対して嫡出否認の訴えを提起しなければなりません。その期間を経過すると、夫は父子関係の存否を争うことができなくなります。

民法775条 
前条の規定による否認権は、子又は親権を行う母に対する嫡出否認の訴えによって行う。親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。

民法777条 
嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から一年以内に提起しなければならない。


そして、夫が、この出生後にその嫡出性を承認すると、否認権を失います。

民法776条 
夫は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、その否認権を失う。


ただし、命名や出生届は、嫡出の承認にはなりません。


非嫡出子:ひちゃくしゅつし


1. 親子関係の発生


父が嫡出でない子を認知すると、両者の間に法律上の親子関係が発生します。

民法779条 
嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

これに対して、母と嫡出でない子との親子関係は、分娩の事実によって当然に発生するというのが判例です。


2. 認知の方法


認知は、届出によって行われます。

民法781条 
1項 
認知は、戸籍法 の定めるところにより届け出ることによってする。 
2項 
認知は、遺言によっても、することができる。

また、認知は、遺言によって行うこともできます。父が嫡出でない子を嫡出子として出生届をすると、認知としての効果を生じるというのが、判例です。

認知は、未成年者や成年被後見人であっても、単独でできます。法定代理人の同意は必要ありません。

民法780条 
認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。


3. 認知の要件


認知は、認知者の意思に基づくものでなければなりません。そのため、認知者と非認知者との間に親子関係があっても、認知者の意思に基づかない認知届は、無効であるというのが判例です。

また、逆に親子関係がないのに行われた認知も、無効です。

民法786条 
子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる。


子が成年になっている場合には、認知には、その子の承諾が必要です。

民法782条 
成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。


婚姻によって青年と擬制されている場合も同じとなります。

子がまだ出生していない胎児の状態であっても、その母の承諾を得れば、父は認知することができます。また、子が死亡しても、その子に直系卑属がいれば、認知できます。

民法783条 
1項 
父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。 
2項 
父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。

4. 認知請求権


父が認知していな場合、子・その直系卑属・これらの者の法定代理人には、認知請求権があり、認知の訴えを提起できます。

民法787条 
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。


この認知請求権は、対価と引き換えであっても、放棄できないというのが、判例です。


5. 認知の効果


認知による親子関係の発生は、出生時に遡って認められます。ただし、認知によって、第三者が既に取得した権利を害することはできません。

民法784条 
認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。


6. 準正


非嫡出子が、認知と父母の婚姻を要件に嫡出子たる身分を取得することを準正といいます。準正には、婚姻準正と認知準正があります。婚姻準正は、認知後に父母が婚姻する場合であり、認知準正は、逆に、父母の婚姻後に認知がある場合です。

民法789条 
1項 
父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。 
2項 
婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。 
3項 
前2項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する。




養子(普通養子)


養子ってなんだ?

養子とは、他人の子供を法的に自分の子供として迎え入れることです。


1. 養子縁組


養親子関係を発生させることを養子縁組といいます。

養子縁組には、当事者双方に縁組意思が必要です。

養子縁組は、当事者双方の縁組意思に基づいた届出が受理されることによって成立します。

民法799条 
第738条及び第739条の規定は、縁組について準用する。


養子となる者が15歳未満の場合には、そのものに代わって法定代理人が縁組の承諾をすることができます。

民法797条 
1項 
養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。 
2項 
法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない。養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときも、同様とする。

これを代諾養子(だいだくようし)と言います。


2. 養子縁組の要件


養親となるには、成年でなければなりません。

民法792条 
成年に達した者は、養子をすることができる。


成年に達していれば、未婚者であっても、成年被後見人であっても、養子を持つことができます。しかし、未成年者は、養子を持つことができません。

次に、尊属または年長者を養子とすることはできません。

民法793条 
尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。


自分より年少でも、尊属は養子にすることはできません。

未成年を養子にするには、自己または配偶者の直系卑属を養子とする場合を除いて、家庭裁判所の許可が必要です。

民法798条 
未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。


そして、配偶者のある者が未成年者を養子にするには、配偶者と共に養子にしなければならないのが原則です。ただし、配偶者の嫡出の連子を養子とする場合や配偶者が石を表示できない場合は、単独でできます。


民法795条 
配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。


また、配偶者のあるものが縁組をするには、配偶者と共にする場合、配偶者が意思を表示できない場合を除いて、配偶者の同意を得なければなりません。



3. 養子縁組の効果


養子縁組が成立すると、養子は、縁組の日から養親の嫡出子になります。

民法809条 
養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。



そして、原則として養親の氏を称することになります。

民法810条 
養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。



また、養子縁組の成立により、養子と養親の血族との間に、血族間と同一の親族関係が生じます。

民法727条 
養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。


特別養子


特別養子とは、実方の血族との親族関係を終了させる養子縁組です。実の父母が養子となるものを監護することが著しく困難または不適当というような特別の事情があり、養子となる者の利益のために特に必要と認められる場合に、実の血族との親族関係を終了させてしまいます。特別養子縁組は、養親となる者の請求により、家庭裁判所が成立させます。

民法817条 
1項 
家庭裁判所は、次条から第817条の7までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。 
2項 
前項に規定する請求をするには、第794条又は第798条の許可を得ることを要しない。


➡【リンク】19. 家族法(相続について)

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