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2020年5月19日火曜日

大阪市売春取締条例事件って何?行政書士試験の重要判例・・地方自治法14条およびそれに基づく本件条例は、罪刑法定主義を定めた憲法31条に違反しないか?

大阪市売春取締条例事件/最大判昭37.5.30




大阪市売春取締条例事件の内容


Aさんは、売春を行う目的で大阪市内において通行人を勧誘したことから「街路等における売春勧誘行為等の取締条例」の2条1項に違反したとして起訴されましたが、Aさん側は、本件条例違反者に対する罰則の根拠となる地方自治体法14条1項および3項(当時の5項)は、条例に対する授権の範囲が不特定かつ抽象的であり、その結果、一般に条例でいかなる事項についても罰則を付することが可能となるから、罪刑法定主義を定めた憲法31条に違反するものであるとして、無罪を訴えた。

地方自治体法14条 
1項 
普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる。 
3項 
普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。


憲法31条 
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。


大阪売春事件の争点


法令に特定の定めがあるものを除くほかは、地方公共団体がその条例の中に条例違反者に対して、一定範囲の刑罰を科する旨の規定を設けることができると定める地方自治法14条およびそれに基づく本件条例は、罪刑法定主義を定めた憲法31条に違反しないか?


判決のポイント


憲法31条に違反しない。

条例で刑罰を定める場合は、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されていれば足りる。

地方自治法14条3項のように、限定された刑罰の範囲内で条例をもって罰則を定めることができるとしたのは、憲法31条の法律の定める手続きによって刑罰を科すもので、同条に違反しない。



➡【リンク】最高裁判所HP・・ 昭和31(あ)4289

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2020年3月20日金曜日

皇居前広場事件って何?行政書士試験の重要判例・・特定の期日に対する訴えの利益は、その期日を経過すれば喪失するか?

皇居前広場事件/最大判昭28.12.23

最終更新日:2020年3月20日




今回は、特定の期日における公園の使用を求める申請に対する不許可処分の取消訴訟は、当該期日の経過により判決を求める法律上の利益が失われるかどうかが問われた皇居前広場事件について紹介したいと思います。

皇居前広場事件の内容


昭和26年(1951年)の日本は、講和問題や賃上げ問題などをめぐって全般的に労働運動・学生運動が復活の動きを見せた年であり、全国で労働運動が高揚していました。日本最大の労働組合だった日本労働組合総評議会は、昭和26年11月10日付で、昭和27年5月1日のメーデーのために皇居外苑の使用許可を求める申請を厚生大臣(今の厚生労働大臣にあたる)にしましたが、大臣は、国民公園管理規則4条に基づき、昭和27年3月13日にこれを不許可としました。このため、評議会は、当該処分が表現の自由を保障する憲法21条や就労者の団結権を保護する憲法28条に違反しているとして、その取り消しを求めて出訴しましたが、その訴訟の係属中(ある事件が裁判所で訴訟中であること)に本件申請に関わる同年5月1日が経過したことから、第二審の東京高等裁判所は、それにより原告が処分の取り消しを求める権利保障の利益がなくなったとして請求を棄却した為、日本労働組合総評議会が上告した事件です。


皇居前広場事件の争点


公園使用についての不許可処分の取り消しを求める訴えについては、使用すべき日が経過することにより判決を求める法律上の利益が失われることなるか?


判決のポイント


特定の期日における公園の使用を求める申請に対する不許可処分の取消訴訟は、当該期日の経過により判決を求める法律上の利益が失われる。

本件では、「5月1日」が過ぎれば、訴えの利益がなくなるということになる。



➡【リンク】最高裁判所HP・・  昭和27(オ)1150

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2020年3月3日火曜日

交通反則金の納付通告と取消訴訟って何?行政書士試験の重要判例・・反則金の納付通告は、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟の対象となるか?

交通反則金の納付通告と取消訴訟/最判昭57.7.15


警視庁HPより抜粋


交通反則金の納付通告と取消訴訟の内容


大阪府警の警察官から駐車違反の事実を指摘されたAさんは、それが自己の行為によるものではないことを主張したため、現行犯逮捕され身柄を拘束された。そのためAさんは、早期釈放を願って翌日に反則金を仮納付し釈放されたが、後日、大阪府警察本部長から仮納付を本納付とみなす効果を持つ反則金納付通告を受けた。

そこで、Aさんは、駐車違反者につき事実誤認があることを理由として、当該反則金納付通告の取り消しを求めて出訴した。


交通反則金の納付通告と取消訴訟の争点


道路交通法127条1項の規定に基づく反則金の納付通告は、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟の対象となるか?


判決のポイント


交通反則通告制度は、反則金の納付の通告を受けた者が任意に反則金を納付したときは刑事訴追を行わないが、一定期間内に反則金の納付がなかったときは本来の刑事手続きを遂行させることとする制度である。通告を受けた者がその自由意志により通告に係る反則金を納付したときは、抗告訴訟によってその効果を覆すことは許されず、当該通告の理由となった反則行為の不成立を主張したいのであれば、反則金の納付をしないまま、後日の公訴提起を待って刑事訴訟手続の中で争うべきである。

したがって、当該通告に対して行政事件訴訟法による取消訴訟を提起することは、不適法である。



➡【リンク】最高裁判所HP・・ 昭和55(行ツ)137



2020年2月9日日曜日

宝塚市パチンコ条例事件って何?行政書士試験の重要判例・・地方公共団体が行政権の主体として、国民に行政上の義務の履行を求める訴訟は、法律上の訴訟に当たるか?

【重要判例】宝塚市パチンコ条例事件/最判平14.7.9




今回は、地方公共団体が行政権の主体として、国民に行政上の義務の履行を求める訴訟は、法律上の訴訟に当たるかが問われた「宝塚市パチンコ条例事件」について紹介したいと思います。


宝塚市パチンコ条例事件の内容


兵庫県の宝塚市長は、同市パチンコ店等の建築等を規制する条例(8条)に基づき、同市内においてパチンコ店を建築しようとするAさんに対して、建築工事の中止命令を発したが、Aさんがこれに従わなかったために、宝塚市BがAさんに対し、工事を続行してはならないことを求める民事訴訟を提起した事件です。


宝塚パチンコ条例事件の争点


地方公共団体が行政権の主体として国民に行政上の義務の履行を求める訴訟は、法律上の訴訟に当たるか?


判決のポイント


地方公共団体が行政権の主体として国民に行政上の義務の履行を求める訴訟は、法律上の訴訟に当たる。

法律上の争訟として当てはまるものは
財産権の主体
行政権の主体(法律に特別な規定がある場合)

今回のケースは、財産権の主体とした訴えではなく。行政権を主体とした訴えでした。

地方公共団体が行政権の主体として、国民に行政上の義務の履行を求める対象は、法律上の争訟に限られ、国又は地方公共団体が、財産権の主体ではなく、もっぱら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は、法規の適用の適正ないし一般公益の保護を目的とするものであって、自己の権利利益の保護救済を目的とするものではないから、法律に特別の規定がない限り、裁判所の審判の対象とはならない。

高速増殖炉もんじゅ原発訴訟って何?行政書士試験の重要判例・・行政事件訴訟法36条にいう「法律の利益を有するもの」とは?

【重要判例】高速増殖炉もんじゅ原発訴訟/最判平4.9.22


国立研究開発法人
日本原子力研究開発機構 HPより抜粋



今回は、「高速増殖炉もんじゅ原発訴訟」について紹介したいと思います。


高速増殖炉もんじゅ原発訴訟の内容


内閣総理大臣が行った福井県敦賀市に設置予定の高速増殖炉「もんじゅ」に関する原子炉設置許可処分に対して、付近住民らが「もんじゅ」の設置稼働により、生命身体を損傷させる等の重大な被害を受けるとして、設置許可処分の無効確認を求めて出訴した。

行政事件訴訟法9条 
1項 
処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。 
2項 
裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。

行政事件訴訟法36条 
無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。


高速増殖炉もんじゅ原発訴訟の争点


取消訴訟における原告適格は、いかなる要素を考慮して判断すべきか?

設置許可申請に係る原子炉(高速増殖炉)から約29kmないし約58kmの範囲内の地域に居住している住民は、原子炉設置許可処分の無効確認を求めるにつき行政事件訴訟法36条にいう「法律の利益を有するもの」に該当するか?

判決のポイント


当該放棄の趣旨・目的のみならず、保護しようとする利益の内容・性質等を考慮して判断すべきである。

行政事件訴訟法9条にいう「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害されまたは必然的に侵害される恐れのあるものをいうのであり、当該処分を定めた行政法規が不特定多数者の具体的利益を公益としてだけでなく、個々人の個別的利益としても保護する主旨を含む場合には、かかる利益も右にいう法律業保護された利益にあたる。行政法規が右の主旨を含むかは、当該放棄の趣旨目的・当該放棄が当該処分を通して保護しようとしている利益の内容・性質等を考慮して判断すべきである。原子炉設置許可基準の各規定は、単に公衆の生命、身体の安全、環境上の利益を一般公益として保護しようとするにとどまらず、原子炉施設周辺に居住し、右事故等がもたらす災害により直接的かつ重大な被害を受けることが想定される範囲の住民の生命、身体の安全等を個々人の個人的利益としても保護するものとする主旨をも含むと解する。




京都府立医大学生放学処分事件って何?行政書士試験の重要判例・・公立大学の学生に対する懲戒処分は、学長の覊束裁量行為と解するべきか?それとも自由裁量行為と解すべきか?

京都府立医大学生放学処分事件

(公立大学の学生に対する懲戒処分)

/最判昭和29.7.30




今回は、公立大学の学生に対する懲戒処分は、学長の覊束裁量行為と解するべきか?それとも自由裁量行為と解すべきか?が争われた「京都府立医大学生放学処分事件」について紹介したいと思います。


京都府立医大学生放学処分事件の内容


京都府立医科大学附属女子専門部の教授会は、同専門部に属するA教授の身体問題を審議するための会議を開こうとしたが、A教授の解雇反対を主張する学生たちによって会議室は混乱し、教授会は流会となった。このため、京都府立医科大学学長Yは、専門部教授会における学生たちの行為は学生の本文にもとり学内の秩序を乱すものであるとして、本科の学生5名(Xら)の懲戒処分を行った。
これに対して、Xさんらは、当該懲戒処分は学長としての裁量権の範囲を逸脱した違法なものであるとして、本件放学処分の取り消しを求めて出訴した。


京都府立医大学生放学処分事件の争点


公立大学の学生に対する懲戒処分は、学長の覊束裁量行為と解するべきか?それとも自由裁量行為と解すべきか?


京都府立医大学生放学処分事件の判決のポイント


公立大学の学生の行為に対して懲戒処分を発動するかどうか、および懲戒処分のうちいずれかの処分を選ぶかを決定することは、その決定が全く事実上の根拠に基づかないと認められる場合であるか、または社会観念上著しく妥当を欠き懲戒権者としての裁量権の範囲を超えるものと認められる場合を除き、学長の裁量権に任される、つまり、学長の自由裁量行為である。


➡【リンク】最高裁判所HP・・    昭和28(オ)525

2020年2月8日土曜日

下関商業高校事件って何?行政書士試験の重要判例・・執拗な退職勧奨(たいしょくかんしょう)は、国家賠償法に基づく慰謝料請求の対象となるか?

下関商業高校事件

執拗な退職勧奨(たいしょくかんしょう)に対する

慰謝料請求/最判昭55.7.10


下関商業高校事件・執拗な退職勧奨(たいしょくかんしょう)に対する 慰謝料請求/最判昭55.7.10


下関商業高校事件の内容


下関市立商業高校に勤務するXら3人の教諭に対し、下関市教育委員会が退職勧奨の基準年齢である57歳になったことを理由に、2~3年にわたり退職勧奨を継続し、当該一連の行為により精神的苦痛を受けたとして、Xさん達が下関市に対して国家賠償法に基づく慰謝料の支払いを求めて出訴した。

※不当に退職を強要された例としては、勧奨に応じない旨を表明しているにもかかわらず、計10回以上、職務命令として市教育委員会への出頭を命じられたり、1名~4名の職員から20分から90分にわたって勧奨されたり、優遇措置もないまま退職するまで勧奨を続けると言われたり等のことが行われていたそうです。

下関商業高校事件の争点


執拗な退職勧奨は、国家賠償法に基づく慰謝料請求の対象となるか?


判決のポイント


対象となる

本来の目的である被勧奨者の自発的な退職意思の形成を促す限度を超える心理的圧力を加えた場合には、違法な権利侵害として不法行為を構成する。



➡【リンク】最高裁判所HP・・     昭和52(オ)405

2020年1月23日木曜日

個人タクシー事件って何?行政書士試験の重要判例・・事業免許申請の許否手続において抽象的な免許要件を定めていれば足りるか?行政庁は申請人に主張・立証の機会を与える必要があるのか?

【重要判例】個人タクシー事件/最判昭46.10.28


個人タクシー事件って何?行政書士試験の重要判例


今回は、事業免許申請の許否手続において抽象的な免許要件を定めていれば足りるか?行政庁は申請人に主張・立証の機会を与える必要があるのか?が問われた「個人タクシー事件」について紹介したいと思います。

個人タクシー事件の内容


Aさんは、陸運局長Bさんに対して、一般乗用旅客自動車運送事業(個人タクシー)免許申請を行なったが、道路運送法6条1項3号〜5号の用件に該当しないことを理由に申請が却下された。これに対し、Aさんは陸運局側はあらかじめ審査基準を定めてその内容を申請人に告知することにより申請人に主張と証拠提出の機会を与えるのべきにもかかわらず、それがなされないまま申請を却下したのは、職業選択の自由にかかわる法的利益を侵害するものであり違法であり違法であると主張し、Aさんは申請却下処分の取消しを求めて出訴した。


個人タクシー事件の争点


①個人タクシー事業の免許申請の許否手続において抽象的な免許要件を定めていれば足りるか?


②申請人に主張・立証の機会を与える必要があるのか?



判決のポイント


①抽象的な免許基準だけでは足りず、具体化した審査基準を設定しなければならない。


②申請人に主張・立証の機会を与える必要がある。


個人タクシー事業免許が個人の職業選択の自由に関わりを有すことと、道路運送法の規定を合わせ考えれば、多数のもののうちから少数特定の者を具体的個別的事実関係に基づき行政庁の判断を疑うことが客観的にもっともと認められるような不公正な手続きをとってはならず、法律上の抽象的な免許基準を具体化した審査基準を設定し、基準を適用する上で必要とされる事項について、申請人に主張と証拠の提出の機会を与えなければならない。


➡【リンク】最高裁判所HP・・    昭和40(行ツ)101


2020年1月22日水曜日

大阪国際空港公害訴訟って何?行政書士試験の重要判例・・営造物の設置又は管理の瑕疵とは何か?将来にわたって継続する不法行為を理由とする損害賠償請求は認められるのか?

【重要判例】大阪国際空港公害訴訟/最大判昭56.12.16




どうもTakaです。今回は、民事上の請求として、一定の時間帯につき航空機のの離着陸の為になされる国営空港の供用の差止を求めることはできるのか?営造物の欠陥以外の原因を理由として国家賠償法2条1項が規定する営造物の設置・管理の瑕疵を認定することは許される?将来にわたって継続する不法行為を理由とする損害賠償請求は認められるのか?が争点となった「大阪国際空港公害訴訟」について紹介します。


大阪国際空港公害訴訟の内容


大阪国際空港(現在の伊丹空港)は、昭和34年の開設以来、拡張を重ね、大型のジェット機が頻繁に離着陸するようになり、周辺の地域に深刻な騒音光害をもたらした。そこで。周辺住人は、空港の設置者である国に対し、国家賠償法2条1項に基づく午後9時から翌朝7時までの空港の使用差し止めと、過去及び将来に係る損害賠償の支払いなどを求めて出訴した。

国家賠償法2条 
1項 
道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。


大阪国際空港公害訴訟の争点


国家賠償法2条1項の営造物の設置又は管理の瑕疵とは何か?

民事上の請求として、一定の時間帯につき航空機のの離着陸の為になされる国営空港の供用の差止を求めることはできるのか?

営造物の欠陥以外の原因を理由として国家賠償法2条1項が規定する営造物の設置・管理の瑕疵を認定することは許されるか?

将来にわたって継続する不法行為を理由とする損害賠償請求は認められるのか?


判決のポイント



国家賠償法2条1項の営造物の設置または管理の瑕疵とは、営造物が有すべき安全性を欠いている状態をいう。そこにいう安全性の欠如すなわち、他人に危害を及ぼす危険性のある状態とは、物的施設自体にある物理的、外形的な欠陥ないし不備によって危害を発生させる危険性がある場合だけではなく、その営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連において危害を発生する危険性がある場合をも含み、また、その危害は、営造物の利用者に対してのみならず、利用者以外の第三者に対するそれをも含むものと解するべきである。

①求めることは認められない。

行政訴訟の方法により請求をすることはともかく、通常の民事請求として、一定の時間帯についての国営空港の供用の差し止めを求めることは認められない。


②許されない

営造物が通常有すべき安全性を欠いている状態には、営造物が供用目的によって利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合も含む。つまり、飛行機の離発着による騒音公害も含むということ。また、その危害は、当該営造物の利用者以外の第三者に対するそれをも含む。つまり、周辺住民への被害も含むということ。


③認められない。

不法行為が将来も継続することが予想されても、損害賠償請求権の成否・額をあらかじめ一義的明確に認定できないなどの場合には、将来の給付の訴えとして損害賠償を求めることは認められない。



➡【リンク】最高裁判所HP・・   昭和51(オ)395

多摩川水害訴訟って何?行政書士試験の重要判例・・河川の安全性とは?また河川管理の瑕疵とは?

【重要判例】多摩川水害訴訟/最判平2.12.13


水害当時の写真 狛江市HPより抜粋 -悪夢のような多摩川堤防決壊


どうもTakaです。
今回は、改修済みの河川における安全性とは何かが問われた「多摩川水害訴訟」について紹介したいと思います。この水害に関しては、長年にわたって裁判で争われた事案で一審は原告の住民が勝訴。控訴審は国が勝訴したが、上告審で破棄差し戻しとなった。最終的には、差戻控訴審で住民が勝訴し、確定しました。今回は、上告審で示された、河川の安全性とは?また河川管理の瑕疵とはどう考えられるかに焦点を当てて、内容を紹介したいと思います。


多摩川水害訴訟の内容


多摩川は、昭和41年に河川法4条に基づき一級河川に指定され、同年7月に建設大臣が策定した「多摩川水系工事実施基本計画」に従って改修工事が実施されました。しかし、狛江市猪方地区については、「改修工事完成区画」とされて、新しい改修の計画はなされませんでした。

そんな中、昭和49年は夜から降り続いた豪雨により、多摩川は著しく増水し、堤防及びその後背地の一部が浸食されて家屋19棟が流されてしまいました。この時の洪水は過去に発生した洪水とほぼ同程度のものであり、そこで、この水害の被害者らは、河川を管理する国に対して、国家賠償法2条1項に基づく損害賠償を請求した。

国家賠償法2条 
1項 
道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。


多摩川水害訴訟の争点


①河川の安全性とは何か?

②河川の改修整備がなされた後に水害発生の危険の予測が可能となっていた場合には、それについての河川管理の瑕疵はどのように考えるべきか?


判決のポイント


①河川の備えるべき安全性とは、一般に施行されてきた治水事業の過程における河川の改修・整備の段階に対応する安全性を持って足りるものとせざるを得ない。工事実施基本計画が策定され、右計画に準拠して改修・整備の必要がないものとされた河川の改修、整備の段階に対応する安全性とは、同計画に定める規模の洪水における流水の通常の作用から予測される災害の発生を防止するに足りる安全性をいうものと解すべきである。

②改修整備後に水害発生の危険の予測が可能になった場合の河川管理の瑕疵は、過去に発生した水害の規模や頻度の自然的条件、土地の利用状況その他の社会的条件、改修を要する緊急性の有無といった諸般の事情、河川管理における財政的・技術的・社会的制約を考慮した上で、当該危険の予測が可能となった時点から現実の水害発生時までの間にその危険に対する対策を講じるべきであったか否かを判断すべきである。

以上の①②の様に示されました。
➡【リンク】最高裁判所HP・・   昭和63(オ)791

2020年1月16日木曜日

川崎駅非番警察官強盗殺人事件って何?行政書士試験頻度の重要判例・・公務員の職務行為の範囲ってどこまで?

【重要判例】川崎駅非番警察官強盗殺人事件

(公務員の職務行為の範囲)/最判昭和31.11.30


【重要判例】川崎駅非番警察官強盗殺人事件 (公務員の職務行為の範囲)/最判昭和31.11.30


どうもTakaです。
今回は、公務員の行為が、外形から見て職務執行行為といえる場合、国家賠償法1条1項の職務を行うについて該当するかが問われた「川崎駅非番警察官強盗殺人事件」を紹介したいと思います。

川崎駅非番警察官強盗殺人事件の内容


警視庁の巡査Aは、非番の日に、川崎駅前で制服制帽を着たうえで、仕事を装って通行人を呼び止め、現金等を取り上げた後、その通行人を射殺した。そこで、被害者の遺族が東京都に損害賠償を請求した。

川崎駅非番警察官強盗殺人事件の争点


公務員の行為が、外形から見て職務執行行為といえる場合、国家賠償法1条1項の職務を行うについて該当するか?

国家賠償法1条 
1項 
国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

判決のポイント


該当する


国家賠償法1条は、公務員が主観的に権限行使の意思を持ってする場合に限らず、自己の利を図る意思を持ってする場合でも、客観的に職務執行の外形を備える行為をして、これによって、他人に損害を加えた場合には、国または公共団体に損害賠償の責を負わしめて、広く国民の権益を擁護することをもって、その立法の趣旨とするものと解すべきである。


➡【リンク】最高裁判所HP・・  昭和29(オ)774

高知落石事件って何?行政書士試験の重要判例・・管理の瑕疵により損害が発生しても国・公共団体は賠償責任を免れるか?

【重要判例】高知落石事件/最判昭和45.8.20

【重要判例】高知落石事件/最判昭和45.8.20


どうもTakaです。
今回は、道路における防護柵等を設置することが予算上困難である場合、道路管理の瑕疵により損害が発生しても、国または公共団体は賠償責任を免れることができるかが
争点となった「高知落石事件」を紹介したいと思います。

高知落石事件の内容


高知県の山間部にある国道56号線を走っていたトラックに落石が直撃して、助手席に乗っていた人が死亡しました。この道路には以前から落石が多かったが、県は「落石注意」の標識程度の対策しか行っていませんでした。そこで、死亡した被害者の遺族が、事故は国道の管理者である国・県の道路管理に瑕疵があったことが原因であるとして、損害賠償を請求した事件です。

高知落石事件の争点


道路における防護柵等を設置することが予算上困難である場合、道路管理の瑕疵により損害が発生しても、国または公共団体は賠償責任を免れることができるか?

判決のポイント


免れない。


国家賠償法2条でいう設置管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい、これに基づく国及び公共団体の賠償責任については、その過失の存在を必要としないとし、さらには落石の対策には予算が掛かり、管理する国や県が困ることにはなるが、だからといって莫大な費用が掛かることは免責事由とはならない。

国家賠償法2条 
1項 
道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。 
2項 
前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。


➡【リンク】最高裁判所HP・・  昭和42(オ)921

2019年11月26日火曜日

【行政書士試験】地方自治法(行政法)の分野のトレーニング問題

【行政書士試験】地方自治法(行政法)の分野のトレーニング問題

最終更新日:2020年8月2日

テスト


●次の問のうち正しいものには○、誤っているものには×をつけなさい。

★地方自治の本旨


(1)地方自治の本旨とは住民自治と団体自治である。

〇・・・問題文の通り


地方公共団体の種類


(2)市町村が普通地方公共団体であるのに対して、都道府県は広域連合である。

✖️・・・市町村も都道府県も普通地方公共団体である。

地方自治法1条の3 
2項 
普通地方公共団体は、都道府県及び市町村とする。


(3)特別地方公共団体とは、特別な目的のために作られる団体であり、現在、特別区、財政区、広域連合、役場事務組合の4つがある。

✖️・・特別地方公共団体は、特別区、地方公共団体の組合、財政区、地方開発事業団の4つである。広域連合と役場事務組合は地方公共団体の組合の1つである。


(4)広域連合とは、隣り合った複数の市町村が同一の事務を持ち合って公立的に処理するための制度である。

✖️・・・広域連合は、市町村に限らず都道府県でもよく、また同一の事情に限らず異なる。


(4)地方開発事業団とは、複数の地方公共団体が、共同で開発事業を行うための組織である。

◯・・・道路、港湾、水道、下水道、公園などの造成や建設などの事業で設置される。

地方自治法298条


(5)都道府県は、その市町村を包括する広域的な組織であり、広域にわたる事務や市町村間の連絡調整などを行う。

◯・・・都道府県は、広域にわたる事務や市町村間の連絡調整などを行う。

地方自治法2条 
5項 
都道府県は、市町村を包括する広域の地方公共団体として、第二項の事務で、広域にわたるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及びその規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理するものとする。

★地方自治体の事務


(6)国外に渡航する際に必要なパスポートの交付は、現在、第二号法定受託事務である。

✖️・・・国外に渡航する際に必要なパスポートの交付は、現在、第一号法定受託事務である。


(7)都道府県知事選挙は、現在、第一号法定受託事務である。

✖️・・・第二号法定受託事務である。


★地方行政に対する国の関与


(8)国地方係争処理委員会の委員は総務大臣が任命する。

◯・・・問題文の通り。

地方自治法250条の9 
委員は、優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、総務大臣が任命する。


(9)普通地方公共団体は、当該地方公共団体の議会の議決を得ることによって、国地方係争処理委員会に審査を申し出ることができる。


✖️・・・普通地方公共団体が国地方係争処理委員会に審査を申し出るために、当該普通地方公共団体の議会の議決を得ることは義務付けられていない。




【行政書士試験・行政法】11. 地方自治法

11. 地方自治法





今回は、行政書士試験の行政法の分野「地方自治法」について勉強していきましょう。


地方自治法って何?


地方自治法は、憲法92条が定める地方自治体を具体的に定めた法律です。


憲法92条 
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。


地方公共団体の組織と運営については法律で定めるとして、具体的な定めを法律に委任しています。これに基づいて制定された法律が地方自治法です


地方自治の本旨


地方自治体の本旨とは、次のことに基づいて政治を行うと考えられています。


①住民自治
・・住民が自らの意思および責任に基づいて地方の政治を行うこと。

②団体自治
・・地方が国から独立して、自らの意思および責任に基づいて政治を行うこと。



地方公共団体の種類


地方公共団体とは、一定の地域を基礎として、その地域に住む住民を構成員としつつ、その地域における事務をその住民の自治によって処理する権能を認められた団体のことです。

この地方公共団体は、大きく分けて、普通地方公共団体と特別地方公共団体に分かれます。

普通地方公共団体
→都道府県
→市町村
・・・指定都市 人工50万人以上
・・・市町村


特別地方公共団体
→特別区(東京23区)
→地方公共団体の組合
→財政区


地方公共団体が行う事務の種類


地方公共団体が行う事務には、法定受託事務と自治事務があります。

1法定受託事務

法定受託事務とは、国または他の地方公共団体の事務のうち、法令によりその処理を委託された事務をいいます。

地方自治法2条 
9項 
この法律において「法定受託事務」とは、次に掲げる事務をいう。 
一 
法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであつて、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第一号法定受託事務」という。) 
二 
法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであつて、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第二号法定受託事務」という。)



自治事務とは、地方公共団体が処理すべき事務のうち、法定受託事務以外の事務のことをいいます。

地方自治法2条 
8項 
この法律において「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。




地方公共団体の権能


地方公共団体は、以下のそれぞれの機能を有しています。

①自治立法権
②自治組織権
③自治行政権
④自治財政権

それぞれの権能を細かく見てみましょう。

1. 自治立法権


自治立法権とは、地方公共団体が、その事務に関して自主法を定める権能をいいます。この地方公共団体の自主法のことを条例といいます。

地方自治法14条 
1項 
普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる。 
3項 
普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。


2. 自治組織権


自治組織権とは、地方公共団体が、その自治権に基づいてその そしき・運営等を定め、組織を構成する公務員を任命する権能をいいます。


3. 自治行政権


自治行政権とは、地方公共団体が事務を処理する権能のこといいます。

地方自治法1条の2 
1項 
地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。

地方自治法2条 
2項 
普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。


4. 自治財政権


自治財政権とは、地方公共団体が、その事務に要する経費に充てるため、自ら必要な資金を調達し、および管理する権能のことをいいます。

必要な資金を調達するには、地方税で税金を徴収して、必要な資金を調達することになりますが、その地方税の徴収の根拠については、以下のように定められています。

地方自治法223条 
普通地方公共団体は、法律の定めるところにより、地方税を賦課徴収することができる。




➦【リンク】地方自治法のトレーニング問題まとめ



2019年11月24日日曜日

【行政書士試験】行政事件訴訟法のトレーニング問題

【行政書士試験】行政事件訴訟法のトレーニング問題


テスト


●次の問のうち正しいものには○、誤っているものには×をつけなさい。



(1)行政事件訴訟法には、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟の4つの制度が規定されている。

〇…問題文の通り。


(2)抗告訴訟の要件には、処分性があること、訴えの利益があること、出訴期間内であること等がある。

〇…問題文の通り。


(3)行政指導には処分性は認められない。

〇…問題文の通り。


(4)土地区画指導には処分性が認められない

〇…問題文の通り。


(5)訴えの利益の要件は、原告適格と狭義の訴えの利益の2つの要件に細分される。

〇…問題文の通り。


(6)原告適格とは、「法律上の利益を有する者」をいう。

〇…問題文の通り。


(7)狭義の訴えの利益とは、取消しにより現実的に救済できる利益のことであり、取消し判決が下されたとしても、もはや原告の救済ができないのであれば訴えの利益は認められない。

〇…問題文の通り。


(8)出訴期間は処分があったことを知った日から6か月以内、もしくは処分のあった日から1年以内と法定されている。

〇…問題文の通り。


(9)処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行または手続きの続行を妨げない

〇…問題文の通り。


(10)処分の取り消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行または手続の続行を妨げない。これを執行不停止の原則という。

〇…問題文の通り。


(11)抗告訴訟には、処分の取消しの訴えのほか、裁決の取り消しの訴え、無効等確認の訴え、不作為の違法確認の訴え、義務付けの訴え、差止の訴えがある。

〇…問題文の通り。


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【行政書士試験・行政法】9. 行政事件訴訟法

9. 行政事件訴訟法

最終更新日:2020年1月5日

【行政書士試験・行政法】9. 行政事件訴訟法

今回は行政法の分野「行政事件訴訟法」について勉強していきましょう。

行政事件訴訟法の種類




行政事件処分に不満がある場合に、裁判所に訴訟を提起するためのルールが規定されています。

そして、

①抗告訴訟、
②当事者訴訟、
③民衆訴訟、
④機関訴訟

の4つが行政事件訴訟とされています。

行政事件訴訟法2条 
この法律において「行政事件訴訟」とは、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟及び機関訴訟をいう。



①抗告訴訟


抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関して、不服を申し立てる訴訟のことです。


行政事件訴訟法3条 
1項 
この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。



この抗告訴訟の具体的な内容は、行政事件訴訟法3条2項以降に規定されています。


①処分の取消訴え
・・行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。


②裁決の取消訴え
・・裁決の取消しの訴えとは、審査請求、異議申立てその他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。


③無効等確認の訴え
・・行政処分の存否またはその効力の有無の各員を求める訴えのこと。これには出訴期間の制限はありません。

④不作為の違法確認の訴え
・・行政庁が法令に基づく申請に対して、相当の期間内になんらかの処分または裁決をすべきだったのにもかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴えのことです。これも出訴期間の義務はありません。


⑤義務付けの訴え
・・行政庁に対して特定の行政処分を行うことを義務付ける訴えのことです。緊急の場合、一定の要件で、仮の義務付けが認められています。

⑥差し止めの訴え
・・公権力の発動をあらかじめ防止する訴え。公権力の発動前なので、

一定の処分・裁決がされることにより重大な損害を生じる恐れがあり、その損害を避けるために他に適当な方法がない時に限って、認められるものです。緊急の場合、一定の要件で、仮の差し止めが認められています。


というように上の6つが定められています。



②当事者訴訟


当事者訴訟とは、つぎの訴訟のことを指す言葉です。
①当事者間の法律関係を確認し、または形成(つくりだす)する行政処分に関する訴訟
例:土地収用法の損失補償額に関する訴訟

②公法上の法律関係が形成された場合にこれの確認等を求める形成のことです。
例:公務員の身分確認の訴え、給料の支払い請求の訴え


取消訴訟の要件


取消訴訟の要件を大きくいうと、次のことが挙げられます


①訴訟の対象が「処分」あるいは「不服申し立てに対する行政庁の裁決(決定)」であること。

・・・「処分」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為のこと。ここでいう「処分」は行政計画、通達、行政指導は当てはまらない。


②出訴期間内であること



処分に対する不服申し立ての方法


原則として審査請求による。行政庁の処分に不服がある場合、審査請求によります。審査請求をすることができる場合でも、取消訴訟を直ちに提起することができるとされています。

行政事件訴訟法8条 
1項 
処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。

審査請求と取消訴訟のどちらの方によればいいのか?


原則として、審査請求と取消訴訟の提起を不服がある者が選んで良いこととなっています。に対する裁決を経た後でなければ、取消訴訟を提起できないという定めがあるときは、審査請求の方法を採らねばならない(審査請求前置)という例外があります。


処分に対する不服申立て、または、取消訴訟の関係

不服申し立ては審査請求から行う

審査請求と取消訴訟の関係

原則、自由に選択できる(自由選択主義)

ただし、法律に定める場合は審査請求による。(審査請求前置)



②当事者訴訟


当事者訴訟とは、
①当事者間の法律関係を確認しまたは形成する処分または裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの。

②公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟。

をいいます。


③民衆訴訟


民衆訴訟とは、国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他事故の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいいます。

行政事件訴訟法5条 
この法律において「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。

自分の法律上の利益に関わらない資格で提起するため、客観訴訟と呼ばれています。

民衆訴訟:
地方自治法に基づく住民訴訟、公職選挙法に基づく選挙の効力に関する訴訟


④機関訴訟


機関訴訟とは、国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する紛争についての訴訟をいいます、

例:
地方公共団体の長と議会が議会の議決または選挙に瑕疵があるかどうかを争う訴訟


次は、行政書士試験の行政法の分野「国家賠償法」について勉強していきましょう。

➡【リンク】10. 国家賠償法



行政手続法って何?処分と行政指導および届出に関する手続について定める法

【行政書士試験・行政法】行政手続法



 行政手続法って何?処分と行政指導および届出に関する手続について定める法

今回は、行政法の分野「行政手続法」について勉強していきましょう。

行政手続法の目的


行政手続法は、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、国民の権利・利益の保護に資することを目的としています。

行政手続法1条 
1項 
この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第46条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。


行政手続法は何に対して適用されるのか?


行政手続法は、処分(申請に対する処分及び不利益処分)と行政指導および届出に関する手続について、共通する事項を定めています。


申請に対する処分について


処分とは、行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為をいいます。

行政手続法2条

処分には、申請に対する処分・不利益処分がありますが、「申請」とは、法令に基づき、行政庁の許可・免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいいます。


行政庁は、申請が到着した時は、遅滞なく申請の審査を開始しなくてはなりません。ただし、申請書に不備等があるときには、すみやかに補正(直すこと)を求めるか、許認可を拒否しなければなりません。

行政手続法7条 
行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。


ちなみに申請に対する処分について、行政手続法では、他にも次のような規定があります。


①行政庁は、申請にかかる許認可の判断基準を(審査基準)を定め、事務所などに公示しなければならない。


②行政庁は、申請の標準的な処理期間を定めるように努め、定めた時は公表しなければなりません。

行政手続法6条 
行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該行政庁と異なる機関が当該申請の提出先とされている場合は、併せて、当該申請が当該提出先とされている機関の事務所に到達してから当該行政庁の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間)を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。



③行政庁は、審査に関わる情報の提供に努めなければなりません。

行政手続法9条 
1項 
行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない。 
2項 
行政庁は、申請をしようとする者又は申請者の求めに応じ、申請書の記載及び添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努めなければならない。




④申請を拒否する場合には、申請者に対して理由を示さなければなりません。

行政手続法8条 
1項 
行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。



行政指導とは、行政機関が、その任務または所掌事務(法令で特定機関の事務に属すると定められている事務)の範囲内において、一定の行政目的を実現するために、特定の人や事業者に一定の行為を行うように(または行わないように)、具体的に求める行為(指導、勧告、助言などで、処分を除く)をいいます。

行政手続法2条6号

この、行政指導が複数の者を対象とするときは、行政機関はあらかじめ、行政指導指針を定め、原則として、公表しなければなりません。

行政手続法36条 
同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならない。



行政指導は、指導を受けた人の自主的な努力によって実現されるものなので、従わなければならないものではありません。また、従わなかったとしても、その後に許認可を受けられないなどといった不利益な取り扱いを受けることもありません。

行政手続法32条 
2項 
行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。



書面の請求


行政指導について、書面を要求すれば、原則として、書面にしてもらうことができます。

行政手続法35条 
3項 
前項の規定は、次に掲げる行政指導については、適用しない。
相手方に対しその場において完了する行為を求めるもの
既に文書(前項の書面を含む。)又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によりその相手方に通知されている事項と同一の内容を求めるもの


また、行政指導を行うものは、その行政指導の趣旨、内容、責任者を明確に示さなければなりません。

行政手続法35条 
1項 
行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。




行政庁への届け出について


届出とは


行政庁に対して、一定の事項の通知をする行為(申請を除く)であって、(国民に対して)法令によって、通知が義務付けられているものをいいます。

行政手続法2条 
7項 
届出  
行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)をいう。



記載事項に漏れがなく、必要な書類が添えられているなど、法令に定められた形式上の要件に適合しているときには、役所は、裁量(自分の権限内の判断)で受け取らないとすることはできません。


もし受け取らなかった場合でも、その届出が、提出先とされる期間の事務所に到達した時に、届出の行為が完了したとされています。

行政手続法37条 
届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。




【行政書士試験・行政法】5. 行政指導

5. 行政指導

最終更新日:2020年1月5日

今回は、行政書士試験の行政法の分野「行政指導」について勉強したいと思います。

行政指導とは?


行政指導とは禁止する法律・条例がなくても指導する対象に積極的に働きかけて、やめてもらうよう協力を依頼することをいいます。

例としては、
公園で鳩にエサをやる人に対してや、家の外の公道にゴミ等を山積する等などの迷惑行為が挙げられます。

行政活動は、権力的な行為だけで成り立っているわけではありません。毎日さまざまな新しい事態が発生し、法律による適切な制度がないからといって手をこまねいているわけにはいきません。そのため、行政指導が必要となります。


行政指導の意味


行政指導とは、行政機関がその行政目的を実現するため、指導、勧告、助言といった非権力的な手段で国民に働きかけて、協力を求め、目的を達成しようとする活動です。行政指導の内容は多種多様です。

例えば、
消費者を守るために広告のあり方などをめぐる規制的行政指導。
農作物を米から野菜等に転換しようという農家に対して技術的もしくは農業経営的な助言をするような助成的行政指導。私人間の紛争の解決のための手法として用いられるもので、マンション建築の建築主と付近住民の建築紛争の調整など調整的行政指導。この調整的行政指導は、建築主に対しては規制的行政指導という側面を持つ場合もあります。


行政指導の問題点


法律の根拠がない部分を埋めて柔軟な工夫で対応するのが、行政指導です。すなわち、法律の根拠なく、臨機応変に柔軟な対応が可能である点が行政指導の一番のメリットであるといえます。しかし、その反面では、法律の根拠が不要であるため手続きが不透明になり、恣意的な指導がされる危険性もあります。あくまで任意的なものであるといいながら、行政指導を受ける人の側からすると、半ば強制的になってしまうような事態もすくなからずあるわけです。
そこで、行政手続法によって行政指導についてのルールがあります。


行政手続法の規定



行政手続法 32条 
1項 
行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。 
2項 
行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。

①行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。

②行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。

とされております。これはあくまで任意であり、従わざるを得ないような状況においこんではいけません。


行政手続法33条 
申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。



建築紛争などに対処するため、行政側が行政指導をした内容を事業主が聞き入れるまで、行政指導をしていることを理由に建築確認処分を留保し続けることは許されません。

行政手続法34条 
許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を有する行政機関が、当該権限を行使することができない場合又は行使する意思がない場合においてする行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならない。



別の許認可に関わることをチラつかせることで国民が従わざるを得ない状況にしてはいけません。



行政手続法 35条 
1項 
行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。 
2項 
行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から前項に規定する事項を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。 
3項 
前項の規定は、次に掲げる行政指導については、適用しない。 
一 相手方に対しその場において完了する行為を求めるもの 
二 既に文書(前項の書面を含む。)又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によりその相手方に通知されている事項と同一の内容を求めるもの


行政指導の存在、内容及び責任の所在を明確にさせるための趣旨です。


行政手続法36条

行政指導の明確性に資するのみならず、一定の条件に該当する複数のものに対し、公平に行政指導がなされることを担保しています。また、行政指導方針が公表されることにより、行政指導の相手方以外の第三者も、当該指針を知りうることとなるので、第三者との関係でも、行政指導の透明性を確保することになります。



行政指導の限界


1. 法律優位の原則からの限界


行政指導は事実行為ではありますが、公行政の一つの手段として用いられている以上、法律優位の原則の運用を受けます。したがって、法令の趣旨に反する行政指導は違法となります。

2. 法の一般原理からの限界


行政指導も、行政活動ですので、法の一般原理の運用があります。したがって、平等原則や比例原則、禁反言、信頼保護の原則に反する場合には、その行政指導は違法となります。



行政指導に対する救済措置


1. 取消訴訟


行政指導は、取消訴訟で争うことができないとされています。行政指導は、取消訴訟の要件である「処分」に当たらないからです。


2. 国家賠償請求


行政指導であっても「公権力の行使」には当たるので、国家賠償請求を行うことは可能です。


次は、行政法の行政手続法について紹介しています。
➡️【リンク】6. 行政手続法

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【行政書士試験・行政法】4. 行政行為・・押さえておきたいポイント

4. 行政行為・・・行政書士試験で押さえておきたいポイント





行政行為とは


行政行為とは、一般的には、行政庁がその一方的な判断で国民の権利義務その他法的地位を具体的に決定する行為を言います。


行政行為の特徴


①一方的であること
②直接的であること
③特定の国民についての
④具体的権利を決定すること

行政の活動によるものでも、特定の国民の具体的権利ではなく、一般的に全ての国民に対する基準を作る行政立法や、任意の協力依頼であって一方的に権利義務を決定するわけではない行政指導は、行政行為ではありません。


一般民法の秩序では、市民の権利義務は、当事者双方の自由な合意が形成されたときに成立します(私的自治の原則)。しかし、行政関係においては、行政目的の確実、迅速、公平な達成のために、私人に一方的に義務を課したり、権利を与えたりする必要があります。

例えば、公共工事の用地取得を、常に任意買収の手段で行うとすれば、用地買収の完了までに多大な費用と時間がかかってしまいます。

そこで、行政法では、行政庁が一方的な判断で国民の権利義務など法的地位を決定したりする手法を認めています。これを「行政行為」と呼んでいます。しかし、行政行為は私人の権利義務を一方的に確定しているので、法律の根拠がある場合にのみ行えるとしています。

また、行政行為には特別な効力が認められ、その効力は特別の手段によらなければ失わせることはできないものとされています。


行政行為の種類


裁量行為と覊束行為


行政行為は裁量行為と覊束行為とに分けられます。この行政行為の分類は行政庁に一定の裁量権が認められるか認められないかにより分けられます。


1. 裁量行為


裁量行為とは、行政庁に一定の裁量が認められる行政行為のことです。

行政行為は私人の権利義務を一方的に確定するものなので、法律の根拠が必要とされています。しかし、、駐車違反の取り締まりや飲食店の営業禁止処分等の多種多様の状況の対応をしなければならない場面もあるので、法律の根拠を必要としつつも、その判断にある程度の行政庁の裁量の幅を持たせる必要があります。これを裁量行為と言います。

裁量行為の具体的な例として、飲食店などの営業許可が挙げられます。食品の安全性を確保できないような場合を、法律で全て想定するのは無理です。急であったり、不測である事態の対処ができません。そこで法律上、許可の要件は細かく定められておらず、裁量行為とされています。


2. 覊束行為:きそくこうい


一方、法律上そのような余地を認めない場合もあります。このような行為を覊束行為(きそくこうい)といいます。羈束とは、つないでしばることです

覊束行為の例:

選挙人名簿への登録

18歳以上の有権者は、実際に投票するためには、市区町村の選挙管理委員会が管理する名簿に登録されていなければなりません。この登録の要件は、法律で市区町村に住所を持つ年齢が満18歳以上の日本国民で、その住民票がつくられた日(他の市区町村からの転入者は転入届をした日)から3ヶ月以上、その市区町村の住民基本台帳に記録されている人と決められています。この要件を満たしさえすれば登録されます。

これに加えて下記の場合にも、旧住所に登録されます。

旧住所地における住民票の登録期間が3箇月以上である17歳の人が転出後4箇月以内に、新住所地において18歳となったが、新住所地における住民票登録期間が3箇月未満である場合。

旧住所地における住民票の登録期間が3箇月以上である18歳以上の人が選挙人名簿に登録される前に転出をしてから4箇月以内で、かつ新住所地における住民票の登録期間が3箇月未満である場合。

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このような特定の事実または法律関係の存在を公に証明する行為のうち、法律により法律効果の発生が予定されているものを公証といいます。




法律行為的行政行為と準法律行為的行政行為


1. 法律行為的行政行為


営業許可などのように行政庁が、一定の法律行為化の発生を欲する意思を持ち、それを外部に表示することによって成立する行政行為を法律行為的行政行為といいます。これは行政の意思に基づいて法的効果を認めているものなので、行政庁に一定の裁量権が認められています。

法律行為的行政行為の例:

下命、禁止、免除、許可、特許、剥権、認可


2. 準法律行為的行政行為


それに対して、選挙人名簿への登録などの公証あるいは、確認などは、行政庁が判断・認識・観念などを発現し、それに対して法律が法的効果を与える行政行為を準法律行為的行政行為といいます。意思を発現しているわけではないため、行政庁に裁量権を認める余地はありません。

準法律行為的行政行為の例:

確認、公証、通知、受理


命令的行為と形成的行為


法律行為的行政行為は、さらに命令的行為と形成的行為に分けられます。

1. 命令的行為


命令的行為とは、行政庁が、国民が本来有している自由に対して制限を加える、または自由の制限を解除する行為をいいます。


命令的行為の例:

下命、禁止、免除、許可


2. 形性的行為


形成的行為とは、行政庁が国民が本来有していない権利能力、行為能力、特定の権利、その他法的地位を与え、または剥奪するなどの行為をいいます。

形成的行為の例:

特許、剥権、認可、代理


※許可と特許の違い・・ここでいう「特許」は、発明などの権利を保全するための特許とは別の制度。

飲食店などの営業を認める場合、原則自由の原則(命令的行為)なので・・・「許可」という言葉を使う。

鉄道会社、電気供給事業者、ガス供給事業者等の国民生活に必須な役割の公益性の高い事業は、行政としても多くの観点からの検討が必要で、役所が公益事業を営む特権を与える場合、大幅な自由裁量(形成的行為)なので・・・「特許」という言葉を使う。


このように、命令的行為(許可)と形成的行為(特許)との違いは、行政庁に認められる最良の強さによります。


附款:ふかん


1. 附款の意味


行政行為に付られる条件で「何月何日から営業を開始してよい」というようなことを附款といいます。

附款を難しく定義すると、行政行為の効果の一部を制限するために、行政行為の主たる意思表示に附加された従たる意思表示のことを指します。


2. 附款の種類


①条件

行政行為の効力の発生や消滅を、発生不確実な将来の事実にかからせる意思表示のことです。条件には、停止条件と解除条件があります。


停止条件・・・事実の発生によって行政行為の効力が発生する場合

解除条件・・・事実の発生によって行政行為の効力が消滅する場合

②期限

行政能力の発生や消滅を、将来発生することの確実な事実にかからせる意思表示のことです。期限には、始期と終期があります。

始期・・・事実の発生によって行政行為の効力が発生する場合

終期・・・事実の発生によって行政行為の効力が消滅する場合


③負担

主たる行政行為の内容に付随する義務を追加することです。例えば、主たる行政行為が「自動車の運転免許」を付与する場合には、裸眼視力が一定以下のものに対して、負担として「メガネの使用」を義務付けたりすることがこれに当たります。

④撤回権の留保

主たる行政行為に付加して、公益上の支障が発生したり、相手方の義務違反が発生したりした時などには行政行為を消滅させる権利を留保することです。例えば、河川の使用を許可するが、公益上の必要が発生した時にはその許可を取り消すことができるなどの場合がこれに当たります。


⑤法律効果の一部除外

法律行為に付加して、法律効果の一部を発生させないことです。例えば、公務での出張を命じるが、規定の旅費を支出しないというような場合がこれに当たります。


3. 附款を附しうる場合


法律が俯瞰を付すことを認めている場合や行政庁に裁量が認められている場合でなければ附款を付けることはできません。附款は「主たる意思表示に 附加された」従たる意思表示なので、附款を付しうる行政行為は、意思表示を要素とする法律行為的行政行為に限られることになります。準法律的行政行為には、附款を付すことはできません。

法律行為的行政行為(営業許可など)・・・附款を付られる

準法律行為的行政行為(公証など)・・・附款を付られない


行政行為にはどのような効果が発生するのか?


行政行為には、その特徴をよりよく発揮できるように、特別の効果が認められています。一般的には、公定力、自力執行力、不可争力、不可変更力があるとされています。

1. 公定力


行政行為は、法律の規定に違反していい方なものであったとしても、権限ある機関が正式にこれを取り消さない限り有効とされ、国民を拘束する力が持たされています。このように違法であっても、有効なものとして通用し関係人を拘束する力を公定力といいます。

一般的に法の世界では、法律に違反する行為は無効であって、何人に対しても法的拘束力は持たないというのが原則です。しかし、役所が下した行政行為(行政処分)に対して、それぞれの勝手な判断で「違法だから無効である、したがって従う必要はない」ということが許されてしますと、公共の安全は守ることができない場合が発生してしまいます。

なので、いったんは有効として扱い、国民はそれに拘束されるとしました、しかし、役所にも間違いはありうるので行政行為が違法である場合もないとはいえません。そこで、行政不服申し立て、取消訴訟などの手続によって権限ある機関が取り消すことができることにしたのです。


2. 不可争力


違法な行政行為によって権利利益を侵害された者が、侵害を排除するには、まず行政行為の取り消しを求めて公定力を除去しなければなりません。そのための手続が行政不服審査と取消訴訟です。

行政不服審査は、原則として処分を知った日の翌日から起算して60日以内に申し立てをしなければなりません。

取消訴訟は原則として処分を知った日から6ヶ月以内です。

これら不服申立期間や出訴機関が経過してしまうと、行政行為によって権利利益を侵害された者であっても、不服申立てや出訴ができなくなります。国民はもはや違法を主張してその拘束を免れることはできなくなります。この効力を不可争力といいます。行政行為を速やかに安定させるため、このような効力が認められています。

ただしこれは「私人が」不服申し立てや出訴ができないということにすぎません。したがって、行政庁の側から行政行為を取消す分には、期間を過ぎていてもいっこうにかまいません。

3. 自力執行力


自力執行力とは、行政行為によって命じられたことを国民が利口しない場合、裁判判決を経ることなく、行政行為自体を法的根拠として、行政庁自らの判断で義務者に対して強制執行を行い、義務の内容を実現することができることをいいます。


4. 不可変更力


不可変更力とは、行政庁が一度行った行政行為は自ら取り消したり、変こくしたりすることができないという動力のことです。

役所は公益の管理者として、常時、適法かつ公益に適合した状態を作り出さなければならなく、もし誤って違法・不当な行政行為をした場合には、自ら進んでこれを取り消し、適法な状態にしなければなりません。したがって、行政行為には原則として不可変更力は認められません。

ただ、異議申し立てに対する決定や審査請求に対する裁決あるいは審決のように、紛争裁断作用として行われるものには例外的に不可変更力が認められる事があります。


行政行為の瑕疵


行政行為はその成立の手続、内容、形式などあらゆる点で法律の定めに合致し、かつ公益に合致していなければなりません。適法性に反する違法な行政行為、法律には違反しているといえなくても公益適合性に反する不当な行政行為は、いずれも危うい行政行為であり、瑕疵ある行政行為といいます。

行政行為が違法とされても、公定力によって、ただちに無効とはなりません。権限ある機関によって取消されるまでは、違法であっても一応有効なものとして扱われます。


しかし、瑕疵があまりにもひどい場合、本来の手続きで取り消されるまでは有効であるとして国民はそれに従わなければならないとするのは不合理です。そこで、瑕疵があまりにもひどく、行政庁側のいいかげんな判断によるときは、例外的に無効な行政行為として、公定力、不可争力などいかなる法的効果も生じないとしました。

行政行為が無効であるということは、正規の取消し手続を経るまでもなく、いつでも誰でも行政行為の瑕疵を主張してその効果を否定することができるような行為であることとなります。

そもそも行政行為に公定力が認められ、瑕疵があってもただちに無効とせず、権限ある国家機関が正式に取り消すまでは有効としたのは、行政行為の瑕疵の判定には専門的又は技術的な判断が必要であり、ここの国民が各人の判断でこれを無効と判定し、「無効故に従う必要はない」とできるとすれば行政行為の目的は達成できないからです。だとすれば、行政行為が、重要な要件に違反し、そのことが客観的に疑う余地のないほど明白であれば、あえて専門機関の判断を待つまでもないと考えられます。

そこで最高裁は、行政行為の違法が重大かつ明白である場合は、その行政行為は法律上当然無効となるとしました。



瑕疵の治癒と違法行為の転換


瑕疵ある行政行為は本来取り消されることになります。しかし、法的安定性の観点から、一定の例外が認められています。


1. 瑕疵の治癒


行政行為が行われた時には存在していた瑕疵がのちになくなった時には、行政行為は適法として扱われるようになります。これを瑕疵の治癒といいます。


2. 違法行為の転換


行政庁が意図した行政処分としては違法な行政処分であったとしても、それを他の種類の行政処分としてとらえると違反でない場合もあります。このような場合に、この処分を取り消すことなく、その効力を別の種類の行政処分として維持することもできます。これを違法行為の転換といいます。


行政行為の取消と撤回


行政行為がいったん有効に成立すると、期限の到来、条件の成就、義務の履行その他の事情によってその効力が消滅するまでは存在します。しかし、役所としては、つねにもっとも国民全体の利益に適した状況を作り出すべきなので、行政行為の効力は行政行為の効力はもはや維持すべきではないと判断したならば、職権でその効力を消滅させることができます。


1. 職権取消し


行政行為が成立当初から違法または不当であったと判断したときは、そのことを理由に処分庁は行為を取り消す旨の意思表示をして、はじめから無かったものとすべきです。これを、職権による取消しといいます。職権取消とは、瑕疵ある行政行為について、行政行為が行われた時点に戻って、その行政行為がなかった、ことにすることです。法律上の根拠は不要です。


2. 撤回


撤回とは、当初瑕疵なく敵法理成立した行政行為について、その後の事情の変化によりその法律関係を存続させることが妥当でないということが生じたときに、この法律関係を消滅させる行為のことをいいます。

例:医薬品の製造承認

医薬品の製造承認をしたが、その薬品が後日有害であると判断したときは、承認を取り消すべきです。

撤回は、問題が生ずるまでは瑕疵がなく成立していた行為の効力を失わせるものですから、その効力は将来に向かってのみ生じます。また、撤回はいったん適法に行われた行為に対して公益判断などに基づいて行われるもので、その権限は処分をする権限の中に内包されていると考えられるため、処分庁は公益の管理者として自由にこれを撤回することができます。これは処分庁の権限であり、原則として処分庁にしかできないことです。


次は、行政法の分野の「行政指導」を説明します。
➡【行政書士試験・行政法】5. 行政指導

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2019年11月15日金曜日

【行政書士試験・行政法】3. 行政立法・・行政立法の全体像、法規命令、行政規則

3. 行政立法

最終更新日:2020年1月5日




行政立法とは?・・・行政機関が作る法規範


行政活動と呼ばれるものは多種に渡りますが、その中でも、国民の権利を制限したり、国民に義務を課すような行政活動を行政(役所)が勝手な判断で強制することはできません。国民の権利を制限できるのは主権者である国民自身以外にはありえません。つまり、行政による強制的な活動は、国民の代表者である国会で決めた法律に基づいたものであることが必要となります。

ただ、法律で事細かになんでも決めると実情に合わせた機動的な活動ができない場合もあり、国会、すなわち「法律」では大枠を決め、細かい部分は役所に任せておいたほうがいい場合もあります。このように国会(法律)の委任を受けて定めた細かい基準などを行政立法といいます。

さらに、行政(役所)の仕事を進めていくためには、国民の権利・義務とは直接関係しないことでも、いろいろと決め事が必要です。そういった決め事も行政立法といいます。

行政立法は行政機関が作る法規範なので、国会が作る「法律」とは別です。


行政立法は、国民の権利義務を規律する性質を有するか否かの違いによって、法規命令と行政規則に分けられます。




重要キーワード!「法規」と「命令」とは?

「法規」とは
国民の権利・自由を制限したり、国民に義務を課す法規範のことを指します。法規範とは、決まりとルールのことです。

「命令」とは
ここでの「命令」は行政機関が定立する法を意味します。つまり、法規命令とは
行政(役所)が定めた、国民の権利・自由を制限したり、国民に義務を課す法規範のことです。


法規命令


法規命令とは?


国民の権利義務を規律する性質をもつ行政法規を法規命令といいます。


委任命令と執行命令


法規命令は内容の観点から、委任命令と執行命令に分類されます。

1. 委任命令


個別・具体的な委任を受けて国民の権利・義務の内容を規定する命令のことです。

①委任立法の限界(国会側の限界)
国会が唯一の立法機関であることから法律による委任は包括的な委任であってはならず、個別・具体的な委任でなければなりません。

②委任命令の内容(行政側の限界)
国会(法律)の委任を受けて定立するので、委任の範囲を超えてはなりません。

2. 執行命令


執行命令とは、様々な法律を執行していくために必要となる実施期日を定める命令です。委任命令は義務の内容を定めるものですが、その内容を実現する手続きを定めているのが執行命令です。手続き・形式を定めるもので、国民の権利・義務の内容自体には直接関わらないので、個別・具体的な法律の根拠まではようしないとされています。ただし、法規である以上、法律の委任は必要です。


行政規則


行政規則とは、国民の権利義務を規律する法律たる性質を有しない行政法規をいい、内規、要領、通達などの形式で定めることができます。

法規命令が、国民の権利・自由を制限するものであったのに対し、こちらはそのような外部的効果を有しません。したがって、制定に当たり法律の授権は不要です。
上級行政機関が下級行政機関に対して「通達」という形式で法律の解釈を統一するために解釈基準を示すことが多いです。下級行政機関は、上級行政機関の示した通達に原則として拘束されることになります。しかし通達は、国民や裁判所を拘束する外部的効果はありません。外部効果を持たない以上、行政規則自体を取消訴訟の対象として争うことはできません。裁判所も、通達の解釈に拘束されることなく、何が正しい解釈であるかを法令に照らして判断することになります。

次は、行政法の行政行為について説明しています。
→【リンク】4. 行政行為

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