2019年11月15日金曜日

【行政書士試験・行政法】3. 行政立法・・行政立法の全体像、法規命令、行政規則

3. 行政立法

最終更新日:2020年1月5日




行政立法とは?・・・行政機関が作る法規範


行政活動と呼ばれるものは多種に渡りますが、その中でも、国民の権利を制限したり、国民に義務を課すような行政活動を行政(役所)が勝手な判断で強制することはできません。国民の権利を制限できるのは主権者である国民自身以外にはありえません。つまり、行政による強制的な活動は、国民の代表者である国会で決めた法律に基づいたものであることが必要となります。

ただ、法律で事細かになんでも決めると実情に合わせた機動的な活動ができない場合もあり、国会、すなわち「法律」では大枠を決め、細かい部分は役所に任せておいたほうがいい場合もあります。このように国会(法律)の委任を受けて定めた細かい基準などを行政立法といいます。

さらに、行政(役所)の仕事を進めていくためには、国民の権利・義務とは直接関係しないことでも、いろいろと決め事が必要です。そういった決め事も行政立法といいます。

行政立法は行政機関が作る法規範なので、国会が作る「法律」とは別です。


行政立法は、国民の権利義務を規律する性質を有するか否かの違いによって、法規命令と行政規則に分けられます。




重要キーワード!「法規」と「命令」とは?

「法規」とは
国民の権利・自由を制限したり、国民に義務を課す法規範のことを指します。法規範とは、決まりとルールのことです。

「命令」とは
ここでの「命令」は行政機関が定立する法を意味します。つまり、法規命令とは
行政(役所)が定めた、国民の権利・自由を制限したり、国民に義務を課す法規範のことです。


法規命令


法規命令とは?


国民の権利義務を規律する性質をもつ行政法規を法規命令といいます。


委任命令と執行命令


法規命令は内容の観点から、委任命令と執行命令に分類されます。

1. 委任命令


個別・具体的な委任を受けて国民の権利・義務の内容を規定する命令のことです。

①委任立法の限界(国会側の限界)
国会が唯一の立法機関であることから法律による委任は包括的な委任であってはならず、個別・具体的な委任でなければなりません。

②委任命令の内容(行政側の限界)
国会(法律)の委任を受けて定立するので、委任の範囲を超えてはなりません。

2. 執行命令


執行命令とは、様々な法律を執行していくために必要となる実施期日を定める命令です。委任命令は義務の内容を定めるものですが、その内容を実現する手続きを定めているのが執行命令です。手続き・形式を定めるもので、国民の権利・義務の内容自体には直接関わらないので、個別・具体的な法律の根拠まではようしないとされています。ただし、法規である以上、法律の委任は必要です。


行政規則


行政規則とは、国民の権利義務を規律する法律たる性質を有しない行政法規をいい、内規、要領、通達などの形式で定めることができます。

法規命令が、国民の権利・自由を制限するものであったのに対し、こちらはそのような外部的効果を有しません。したがって、制定に当たり法律の授権は不要です。
上級行政機関が下級行政機関に対して「通達」という形式で法律の解釈を統一するために解釈基準を示すことが多いです。下級行政機関は、上級行政機関の示した通達に原則として拘束されることになります。しかし通達は、国民や裁判所を拘束する外部的効果はありません。外部効果を持たない以上、行政規則自体を取消訴訟の対象として争うことはできません。裁判所も、通達の解釈に拘束されることなく、何が正しい解釈であるかを法令に照らして判断することになります。

次は、行政法の行政行為について説明しています。
→【リンク】4. 行政行為

➡サイトトップへ戻る

0 件のコメント:

コメントを投稿