2019年11月9日土曜日

17. 家族法(婚姻について)・・・行政書士試験の勉強で押さえておきたいポイント!婚姻についてわかりやすく説明


17. 家族法(婚姻について)・・・行政書士試験の勉強で押さえておきたいポイント!婚姻についてわかりやすく説明


今回は、行政書士試験の民法の分野「家族法(婚姻)」について説明します。






婚姻


婚姻についてわかりやすく説明


婚姻の要件・・・結婚に必要な条件


1. 婚姻適齢・・・結婚が認められる年齢


婚姻とは、ずはり!結婚のことです。婚姻するには、年齢の制限がないわけではありません。男は18歳、女は16歳にならないと、婚姻をすることができません。

民法731条 
男は、十八歳に、女は、十六歳にならなければ、婚姻をすることができない。

婚姻適齢は、男が18歳、女が16歳です。これを満たすことが婚姻の第一の要件です。


2. 重婚の禁止


民法では、一夫一婦制を採用し、配偶者のある者が重ねて婚姻すること(重婚)を禁止しています。ようは結婚している状態で、さらに結婚してはいけないってとこです。

民法732条 
配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。

重婚でないことも婚姻の要件です。



3. 再婚禁止期間


再婚については、女性に限り、離婚の成立から100日を経過しないと認められません。

子どもの親を特定することを目的とした制度になりますので、親の特定に問題のないときは100日経過の縛りが除外される規定もあります。

民法では婚姻の日から200日以後もしくは離婚から300日以内に妻が子どもを産んだときは、その子どもを夫の子どもとしているからです。

離婚して直ちに再婚をすることで子どもの父親を特定することが難しくなるため、子どもの父親を確定し、子どもの保護を図るために定められているルールです。

民法733条 
1項 
女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。 
2項 
前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。 
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合 
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合


4. 近親者間の婚姻禁止


直系血族または傍系血族という近親者の間での婚姻は、禁止されています。

民法734条 
1項 
直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。 
2項 
第817条の9の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。

ただし、養子と養方の傍系血族については、3親等以内であっても婚姻することできます。


5. 直系姻族間の婚姻禁止


養父母などの直系姻族との婚姻は、姻族関係の終了後であっても、倫理的理由により禁止されています。

民法735条 
直系姻族の間では、婚姻をすることができない。第728条又は第817条の9の規定により姻族関係が終了した後も、同様とする。


6. 養親子(ようしんし)関係者間の婚姻禁止


養親と養子との婚姻は、両者の親族関係が終了した後であっても禁じられています。養子と養親の直系尊属との婚姻も同じです。そして、養子の配偶者や養子の直系卑属と養親やその直系卑属との婚姻も同じです。

民法736条 
養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第729条の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。



7. 未成年者・成年被後見人の婚姻


未成年者が婚姻をするには、父母の同意が必要です。

民法737条 
1項 
未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。 
2項 
父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足りる。父母の一方が知れないとき、死亡したとき、又はその意思を表示することができないときも、同様とする。


婚姻適齢に達していても、未成年者である以上、父母の同意が必要となります。

これに対して、成年被後見人は、正常な判断ができる状態になった時に、自分の判断だけで婚姻をすることができます。

民法738条 
成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。


成年被後見人の同意を得る必要はありません。


婚姻の成立


婚姻は、双方に婚姻意思があり、その意思に基づいた届出がなされた時に成立します。婚姻意思に基づく届け出が婚姻の成立要件です。

民法739条 
1項 
婚姻は、戸籍法 (昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。 
2項 
前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。

婚姻は、婚姻意思に基づくことが不可欠の要件です。そのため、他人が勝手に届出をしても、婚姻意思がない以上、婚姻は無効です。



婚姻の取消し


1. 取消原因


次の場合にも、婚姻の意思に基づいた届け出が誤って受理されると婚姻は有効に成立します。しかし、婚姻の障害となる事由があるため、婚姻を取り消すことができます。


①婚姻適齢違反

②重婚

③再婚禁止期間違反

④直系血族または3親等内の傍系血族との近親婚

⑤直系姻族間の婚姻

⑥養親子関係者間の婚姻

⑦詐欺または脅迫による婚姻


2. 取り消しの方法・効果


婚姻の取消は、家庭裁判所に請求しなければなりません。

民法743条 
婚姻は、次条から第747条までの規定によらなければ、取り消すことができない。


請求ができるのは、取り消しの対象となる婚姻の各当事者・その親族および公益の代表者である検察官のいずれかだけであるというのが原則です。

婚姻の取消には、遡及効がなく、将来にむかってのみ効力を生じます。

民法748条 
1項 
婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる。 
2項 
婚姻の時においてその取消しの原因があることを知らなかった当事者が、婚姻によって財産を得たときは、現に利益を受けている限度において、その返還をしなければならない。 
3項 
婚姻の時においてその取消しの原因があることを知っていた当事者は、婚姻によって得た利益の全部を返還しなければならない。この場合において、相手方が善意であったときは、これに対して損害を賠償する責任を負う。


そのため、婚姻が取り消されても、婚姻による成年擬制などには影響を与えません。


婚姻の効果


婚姻が成立すると、配偶者の血族との間に姻族関係が発生します。また、未成年であっても、成年と扱われるようになります。

民法753条 
未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。


そして、夫婦は同じ氏(夫または妻の氏)を称し、同居し、互いに協力し、扶助しあう義務が発生します。

民法752条 
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。



夫婦財産制


1. 夫婦別産制


夫婦の一方が婚姻前から持っている財産は、その特有財産とされています。また、婚姻中に取得した財産のうち、夫婦いずれかに属するか明らかでない場合には、共有と推定されますが、帰属者をはっきりさせて取得させて取得した場合には、その名義人の特有財産になります。

民法762条 
1項 
夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。 
2項 
夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。


2. 婚姻費用の分担


夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生じる費用を分担します。

民法760条 
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。


例えば、夫婦が生活の本拠としている建物の修繕に要した費用は、婚姻から生ずる費用であり、夫婦で分担します。


3. 日常家事債務


夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為を行い、それによって生じた債務は、他方が責任を負わないと予告していた場合を除いて、他方も連帯して責任を負います。

例えると、例えば、あなたが結婚しているとして、あなたの配偶者が情報商材(学習商材)を買ったとします。あなたがそのことを知らなく、承知していなくても、支払いを拒否することができません。ただし、買う相手に責任を負わない旨を予告した場合には、この限りではなありません。

3. 日常家事債務の例


民法761条 
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。


婚姻の解消


婚姻の解消


1. 解消事由


婚姻の解消事由として、配偶者の一方の死亡と離婚があります。これらによって婚姻の効果は、消滅することになります。ここで確認しておく点は、効果は将来にむかって消滅することです。


無効には、協議離婚、裁判離婚、調停離婚、審判離婚という4種類のものがあります。それぞれの種類を確認してみましょう。


①協議離婚

夫婦間の協議によって婚約を解消させるものであり、離婚の意思に基づく届出が要件となります。


②裁判離婚

配偶者の一方の請求に基づき、裁判所が判決手続によって婚姻を解消させるものであり、判決の確定によって離婚の効果が発生します。

③調停離婚

夫婦間で話し合いをしたが離婚について合意できない、相手が話し合い自体に応じない場合には、調停による離婚をめざすことです。


④審判離婚

審判離婚とは、離婚調停が成立しない事案において、家庭裁判所が「離婚が相当」と判断した場合に、裁判所の職権で決められる離婚方法です。


2. 財産分与請求権と慰謝料請求権


財産分与請求権とは、財産を清算して分配し、かつ離婚後の一方当事者の請求者の生計を維持することを目的に認められた権利です。これに対して、慰謝料請求権は、相手方の有責行為によって離婚せざるを得なくなった精神的な苦痛を償うことを目的とする権利です。


3. 婚姻解消の効果


離婚によって、姻族関係が終了します。

民法728条 
1項 
姻族関係は、離婚によって終了する。 
2項 
夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。

そして、婚姻によって氏を定めていた場合には、原則として元の氏に戻ります。この元の氏に戻ることを復氏(ふくし)といいます。ただし、離婚から3ヶ月以内に届出をすれば、そのままの氏であり続けることもできます。


民法771条 
第766条から第769条までの規定は、裁判上の離婚について準用する。


民法767条 
1項 
婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。 
2項 
前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。


これに対して、配偶者の一方が死亡しても、その血族と生存配偶者との姻族関係が消滅するわけではありません。姻族関係は、生存配偶者の意思表示があって初めて消滅します。また、生存配偶者が婚姻に際して氏を変更していた場合、元の氏に戻すか否かは本人の意思次第です。


内縁


内縁とは、共同生活を営んでいる事実上の夫婦ですが、届出をしていないため法律上の夫婦と認められないものをいいます。内縁は、法律上の夫婦と認められないため、内縁関係に入っても、婚姻関係は発生しません。そして、相続権もありません。また、未成年者が成年とみなされることもありません。


➡【リンク】18. 家族法(親子について)

➡サイトトップへ戻る

0 件のコメント:

コメントを投稿