2019年11月30日土曜日

【行政書士試験・商法・会社法】1. 商人

1. 商人

商法・会社法

どうもTakaです。今回は、商法・会社法の分野の紹介をしたいと思います。
このページでは、商人とは何か?から始まり商業登記、商号、商業使用人、代理商に関して取り扱います。


商人とは何か?


固有の商人


商法における権利の主体は、商人です。商人というのは、自己の名を持って商行為をすることを業とする者をいいます。

商法4条 
1項 
この法律において「商人」とは、自己の名をもって商行為をすることを業とする者をいう。

営利目的で継続的に反復して、自己名義で商行為を行うものは、全て商人です。これが本来の意味での商人であり、固有の商人と呼ばれています。


擬制商人


次の項目に該当する人は、経営の形態や企業の設備の点から、たとえ商行為を行わなくても、商人とみなされます。
商法4条2項


商業登記


商業登記とは何か?


商業登記とは、商人の取引に必要な事項を公示するものです。すでに出来上がっている


商業登記の公示力


登記すべき事項は、それが成立または存在していても、商業登記簿に登記しなければ、善意の第三者には対抗できません。
登記後は、その事項を善意の第三者にも対抗できるのが原則で、登記をすれば第三者もその事項を知ったものと擬制し、法律関係の画一化。安定化を図るのです。
ただし、登記をしても、正当な事由により、登記があることを知らなかった第三者には対抗できません。


不実の登記


故意または過失により不実の登記をしたものは、不実であることを善意の第三者に対抗できないとされています。

商号

商号とは何か?


商号とは、商人の営業上の名称です。商号は図形や模様などの呼称できないものではだめで、呼称できるものでなければなりません。


商号の選定


1. 商号の個数


1個の営業については、1個の称号しか許されません。これを「商号単一の原則」といいます。複数の営業を営む場合については、個人商人であれば、営業ごとに違った称号を用いることができます。しかし、会社は、複数の営業を営む場合でも、商号は1個に限定されています。

2. 商号自由主義


商号は、原則として自由に選定することができます。会社以外の商人であれば、自分の名前を商号とすることもできます。しかし、会社の場合は、その名称がそのまま商号になります。

会社法6条 
1項 
会社は、その名称を商号とする。

3. 商号の規制


不正の目的で、他の商人と誤認させる恐れのある商号を使用してはなりません。
これに違反する商号の使用よって営業上の利益を侵害され、または侵害される恐れのある商人は、侵害の停止または予防を請求することができます。


商号の譲渡

1. 商号の譲渡の方法


商号は、財産権的性質を持つので、譲渡することができます。しかし、営業と切り離して商号だけを譲渡すると、営業の主体が誰かについて誤認を生じます。
そのため、商号を譲渡するには、営業とともに行うか、または営業を廃止する必要があります。商号の譲渡は、登記をしないと、第三者に対抗することができません。

2. 営業の譲受人による商号の続用


営業が譲渡され、譲受人の商号を引き続き使用する場合、譲受人は、遅滞なく、譲受人の営業上の債務について責任を負わない登記をするか、通知をしないと
その債務について、譲受人と連帯して弁済をしなければなりません。また、譲受人の営業によって生じた債権について、善意無重過失で譲受人にした弁済は、有効とされています。


名板貸の責任


自己の称号を使用して営業または事業を行うことを他人に許諾した商人は、事故を営業主と誤認した取引によって発生した債務について、その他人と連帯して弁済しなければなりません。外観を信頼した取引の相手方を保護しようとするわけです。



商業使用人

商業使用人とは何か?

商業使用人は、雇用契約によって商人に従属し、対外的な商業上の業務に従事する者です。例として、支配人が代表例です。商業使用人になれるのは、自然人だけです。

支配人

1. 支配人とは何か?


支配人とは、選任された営業所において、営業主に変わって営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為を行う権限のある商業使用人です。
商法21条1項

商人は、支配人を選任して、営業所の営業を行わせることができます。

商法20条 
商人は、支配人を選任し、その営業所において、その営業を行わせることができる。


支配人・支店長・マネージャーなど、名称は問いません。営業所の企業活動に関し、一切の代理権を与えられている使用人であれば、支配人に当たります。

2. 支配人の代理権

支配人は、全体的な代理権を持っています。そのため、支配人の代理権に制限を加えても、善意の第三者に対抗することはできません。
代理権が消滅すると、支配人の地位は消滅します。

3. 支配人の競業の禁止

支配人は商人の許可がなければ、次の行為をしてはなりません。支配人がその地位を利用して商人の利益を害することがないようにするためです。
①自ら営業を行うこと
②自己または第三者のために、その商人の営業の部類に属する取引をすること
③他の商人・会社・外国会社の使用人になること
④会社の取締役・執行役または業務を執行する社員となること。


4. 表見支配人

営業所の営業の主任者であることを表す名称をつけられた使用人(表見支配人)は、その営業所の営業に関し、一切の裁判外の行為をする権限があるものとみなされます。



その他の商業使用人


1. ある種類・特定の事項の委任


商人の営業に関するある種類または特定の事項の委任を受けた使用人には、その事項に関して一切の裁判外の行為をする権限があります
その使用人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗できません。

2. 物品の販売等を目的とする店舗


物品の販売等を目的とする店舗の使用人には、その店舗にある物品の販売等に関する権限があるとみなされます。ただし、相手方が悪意であった場合は、権限があるとはみなされません。



代理商

代理商とは何か?


代理商というのは、一定の商人のため、継続的にその営業の部類に属する取引の代理または媒介をする独立した商人です。代理商は、自然人だけでなく、法人もなれます。



締約代理商と媒介代理商


代理商はその性質で、締約代理商と媒介代理商の二つに分類されます。

1. 締約代理商


締約代理商とは、一定の商人から代理権を与えられ、その商人の取引行為の代理を行う代理商です。締約代理商が、与えられた代理権の範囲内で行なった代理行為の効果は、本人たる商人に帰属します。締約代理商の例は、損害保険の代理店などが挙げられます。

2. 媒介代理商


媒介代理商とは、一定の商人のために、取引行為の媒介(手助け)を行うだけの代理商でです。例えば、一定の商人のために、たくさんの買い手を媒介することを自身の企業内容とする代理商です。媒介代理商には代理権がありません。


代理商の競業の禁止


代理商は、商人の許諾がない限り、商人の営業に属する取引を自己または第三者のために行うことはできません。また、代理商は、商人の許諾がない限り、商人の営業と同種の事業を行う会社の取締役・執行役などになることはできません。
会社法28条1項


次は、商行為に関して紹介しています。
➡【リンク】商行為

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