2019年11月24日日曜日

【行政書士試験・行政法】9. 行政事件訴訟法

9. 行政事件訴訟法

最終更新日:2020年1月5日

【行政書士試験・行政法】9. 行政事件訴訟法

今回は行政法の分野「行政事件訴訟法」について勉強していきましょう。

行政事件訴訟法の種類




行政事件処分に不満がある場合に、裁判所に訴訟を提起するためのルールが規定されています。

そして、

①抗告訴訟、
②当事者訴訟、
③民衆訴訟、
④機関訴訟

の4つが行政事件訴訟とされています。

行政事件訴訟法2条 
この法律において「行政事件訴訟」とは、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟及び機関訴訟をいう。



①抗告訴訟


抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関して、不服を申し立てる訴訟のことです。


行政事件訴訟法3条 
1項 
この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。



この抗告訴訟の具体的な内容は、行政事件訴訟法3条2項以降に規定されています。


①処分の取消訴え
・・行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。


②裁決の取消訴え
・・裁決の取消しの訴えとは、審査請求、異議申立てその他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。


③無効等確認の訴え
・・行政処分の存否またはその効力の有無の各員を求める訴えのこと。これには出訴期間の制限はありません。

④不作為の違法確認の訴え
・・行政庁が法令に基づく申請に対して、相当の期間内になんらかの処分または裁決をすべきだったのにもかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴えのことです。これも出訴期間の義務はありません。


⑤義務付けの訴え
・・行政庁に対して特定の行政処分を行うことを義務付ける訴えのことです。緊急の場合、一定の要件で、仮の義務付けが認められています。

⑥差し止めの訴え
・・公権力の発動をあらかじめ防止する訴え。公権力の発動前なので、

一定の処分・裁決がされることにより重大な損害を生じる恐れがあり、その損害を避けるために他に適当な方法がない時に限って、認められるものです。緊急の場合、一定の要件で、仮の差し止めが認められています。


というように上の6つが定められています。



②当事者訴訟


当事者訴訟とは、つぎの訴訟のことを指す言葉です。
①当事者間の法律関係を確認し、または形成(つくりだす)する行政処分に関する訴訟
例:土地収用法の損失補償額に関する訴訟

②公法上の法律関係が形成された場合にこれの確認等を求める形成のことです。
例:公務員の身分確認の訴え、給料の支払い請求の訴え


取消訴訟の要件


取消訴訟の要件を大きくいうと、次のことが挙げられます


①訴訟の対象が「処分」あるいは「不服申し立てに対する行政庁の裁決(決定)」であること。

・・・「処分」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為のこと。ここでいう「処分」は行政計画、通達、行政指導は当てはまらない。


②出訴期間内であること



処分に対する不服申し立ての方法


原則として審査請求による。行政庁の処分に不服がある場合、審査請求によります。審査請求をすることができる場合でも、取消訴訟を直ちに提起することができるとされています。

行政事件訴訟法8条 
1項 
処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。

審査請求と取消訴訟のどちらの方によればいいのか?


原則として、審査請求と取消訴訟の提起を不服がある者が選んで良いこととなっています。に対する裁決を経た後でなければ、取消訴訟を提起できないという定めがあるときは、審査請求の方法を採らねばならない(審査請求前置)という例外があります。


処分に対する不服申立て、または、取消訴訟の関係

不服申し立ては審査請求から行う

審査請求と取消訴訟の関係

原則、自由に選択できる(自由選択主義)

ただし、法律に定める場合は審査請求による。(審査請求前置)



②当事者訴訟


当事者訴訟とは、
①当事者間の法律関係を確認しまたは形成する処分または裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの。

②公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟。

をいいます。


③民衆訴訟


民衆訴訟とは、国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他事故の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいいます。

行政事件訴訟法5条 
この法律において「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。

自分の法律上の利益に関わらない資格で提起するため、客観訴訟と呼ばれています。

民衆訴訟:
地方自治法に基づく住民訴訟、公職選挙法に基づく選挙の効力に関する訴訟


④機関訴訟


機関訴訟とは、国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する紛争についての訴訟をいいます、

例:
地方公共団体の長と議会が議会の議決または選挙に瑕疵があるかどうかを争う訴訟


次は、行政書士試験の行政法の分野「国家賠償法」について勉強していきましょう。

➡【リンク】10. 国家賠償法



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