【重要判例】大阪国際空港公害訴訟/最大判昭56.12.16
どうもTakaです。今回は、民事上の請求として、一定の時間帯につき航空機のの離着陸の為になされる国営空港の供用の差止を求めることはできるのか?営造物の欠陥以外の原因を理由として国家賠償法2条1項が規定する営造物の設置・管理の瑕疵を認定することは許される?将来にわたって継続する不法行為を理由とする損害賠償請求は認められるのか?が争点となった「大阪国際空港公害訴訟」について紹介します。
大阪国際空港公害訴訟の内容
大阪国際空港(現在の伊丹空港)は、昭和34年の開設以来、拡張を重ね、大型のジェット機が頻繁に離着陸するようになり、周辺の地域に深刻な騒音光害をもたらした。そこで。周辺住人は、空港の設置者である国に対し、国家賠償法2条1項に基づく午後9時から翌朝7時までの空港の使用差し止めと、過去及び将来に係る損害賠償の支払いなどを求めて出訴した。
国家賠償法2条
1項
道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
大阪国際空港公害訴訟の争点
国家賠償法2条1項の営造物の設置又は管理の瑕疵とは何か?
①
民事上の請求として、一定の時間帯につき航空機のの離着陸の為になされる国営空港の供用の差止を求めることはできるのか?
②
営造物の欠陥以外の原因を理由として国家賠償法2条1項が規定する営造物の設置・管理の瑕疵を認定することは許されるか?
③
将来にわたって継続する不法行為を理由とする損害賠償請求は認められるのか?
判決のポイント
国家賠償法2条1項の営造物の設置または管理の瑕疵とは、営造物が有すべき安全性を欠いている状態をいう。そこにいう安全性の欠如すなわち、他人に危害を及ぼす危険性のある状態とは、物的施設自体にある物理的、外形的な欠陥ないし不備によって危害を発生させる危険性がある場合だけではなく、その営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連において危害を発生する危険性がある場合をも含み、また、その危害は、営造物の利用者に対してのみならず、利用者以外の第三者に対するそれをも含むものと解するべきである。
①求めることは認められない。
行政訴訟の方法により請求をすることはともかく、通常の民事請求として、一定の時間帯についての国営空港の供用の差し止めを求めることは認められない。
②許されない
営造物が通常有すべき安全性を欠いている状態には、営造物が供用目的によって利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合も含む。つまり、飛行機の離発着による騒音公害も含むということ。また、その危害は、当該営造物の利用者以外の第三者に対するそれをも含む。つまり、周辺住民への被害も含むということ。
③認められない。
不法行為が将来も継続することが予想されても、損害賠償請求権の成否・額をあらかじめ一義的明確に認定できないなどの場合には、将来の給付の訴えとして損害賠償を求めることは認められない。
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