2019年8月29日木曜日

3. 紛争解決・・裁判で紛争を解決する方法・裁判以外で紛争を解決する方法

3. 紛争解決



裁判による紛争解決

裁判制度

裁判とは何か?

裁判とは、裁判所または裁判官が事実を認定し法を適用して具体的な事件を解決する判断行為のことを言います。法の適用の前提となる事実のある無いを確定できない場合でも、裁判所または裁判官は、裁判を拒否できません。国民に裁判を受ける権利が保障されているからです。

最高裁判所の裁判

最高裁判所の審理や裁判は、全裁判官による大法廷または3人以上の裁判官による小法廷で行います。法令等の憲法違反の判断や最高裁判所の判例を変更する場合には、大法廷で裁判をしなければなりません。

最高裁判所は、法令に違反するか否かを審査する法律審です。しかし、判決に重大な影響を及ぼす重大な事実の誤認などがあった場合など、事実認定が問題となることもあります。

高等裁判所の裁判

高等裁判所の裁判は、法に特別の定めがある場合を除いて、複数の裁判官による合議制で行われます。3名の裁判官による合議制が原則となりますが、5名の場合もあります。合議によって意見が一致しなくても、少数意見を付すことはできません。少数意見を付けられるのは最高裁判所だけです。

高等裁判所は、通常、第二審裁判所となります。しかし、高等裁判所が第一審裁判所になる場合もあります。

地方裁判所の裁判

地方裁判所の裁判は原則として1名の裁判官によって行われます。
ただし、事案の性質によっては、3名の裁判官の合議制で行われる場合もあります。
裁判所法26条

家庭裁判所の裁判

家庭裁判所は、家庭に関する事件と少年事件を扱います。その他にも簡易訴訟など、訴訟事件も扱います。家庭裁判所の裁判も、地方裁判所と同様に、原則として1名の裁判官によって行われますが、事案の性質によっては3名の裁判官の合議制で行われる場合もあります。

簡易裁判所の裁判

簡易裁判所は、軽微な事件の処理のために設けられた下級裁判所です。訴訟の目的の価値が一定額を超えない請求に関する民事事件の第一審および罰金以下の刑に当たる罪など一定の軽微な犯罪。


民事裁判

民事訴訟って何?

民事訴訟というのは、私人間の紛争を国の裁判権によって強制的に解決する手続きです。手続きの進め方など、民事訴訟のルールを定めているのが民事訴訟法です。

民事訴訟の進め方

民事訴訟は、当事者(原告)の訴えがあって初めて開始されます。民事訴訟を利用するか否か、審判の対象と範囲をどうするかは、当事者の意思に委ねられています。これを処分権主義といいます。

民事訴訟の終了

民事訴訟は、裁判所の最終的な判断である判決によって終了するのが原則です。しかし、当事者の意思によって訴訟を終了させることもできます。

判決によらず当事者の意思による訴訟の終わらせ方

①訴えの取り下げ
②請求の放棄・認諾
③訴訟上の和解
のいずれかにより、当事者は訴訟を終了させることができます。

刑事裁判

罪刑法定主義って何?

罪刑法定主義とは、「法律なくば刑罰なく、法律なくば犯罪なし」と定義される原則です。どのような行為が罪になり、それに対してどのような刑が科されるかは、国民の代表が制定した法律で(法律主義の原則)、予め定めておかなければならない(事後法禁止の原則)というのです。そのため、慣習や物事の筋道や道理(条理)を刑法の直接の法源とするのは禁止されています。
また、刑罰法規は、施工後の行為にのみ適用され、施行後の行為に遡って適用してはなりません。

和解を申し立てることもできます。

民事訴訟法 第二百六十五条  
裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、当事者の共同の申立てがあるときは、事件の解決のために適当な和解条項を定めることができる。 
2 前項の申立ては、書面でしなければならない。この場合においては、その書面に同項の和解条項に服する旨を記載しなければならない。 
3 第一項の規定による和解条項の定めは、口頭弁論等の期日における告知その他相当と認める方法による告知によってする。 
4 当事者は、前項の告知前に限り、第一項の申立てを取り下げることができる。この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。 
5 第三項の告知が当事者双方にされたときは、当事者間に和解が調ったものとみなす。


そして、当事者の合意内容を記載した、調書には、確定判決と同一の効力が認められています。

民事訴訟法 第二百六十七条 
和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。

調停

調停って何?

調停というのは、第三者が当事者を仲介して、その紛争の解決を図ることを言います。当事者が合意に達して初めて解決するのであって、第三者の案は、当事者を拘束しません。調停は、当事者の互いに譲り合うこと(互譲)によって、物事の筋道や道理(条理)にかない、実情に即した解決を図る方法です。


仲裁

仲裁って何?

仲裁というのは、当事者の合意に基づき、第三者の判断によってその当事者間の紛争を解決することです。調停と異なり第三者の判断が当事者を拘束します。


裁判外紛争解決手続(ADR)

裁判外紛争解決手続(ADR)というのは、裁判所の訴訟手続によらずに、民事上の紛争を解決しようとする当事者のために、公正な第三者が関与する手続のことです。同法制度改革の一環として、この手続が整備されています。

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