2019年8月24日土曜日

【行政書士試験・基礎法学】1. 法の基礎知識

1. 法の基礎知識



どうも今回は、基礎法学の基本知識について紹介したいと思います。法令用語や法の効力といった基礎は、他の科目の学習に役立つので、力にしたいところです。

法はどのように分類されるのか

法とは何か?


改めて、振り返ってみましょう。法とは、社会生活を規律している規範のことです。法は人同士のトラブルを正すために社会秩序の維持を目的としたものであり、人間の行動選択の基準となり得るものです。


成文法と不文法


文章に表された法を成文法といいます。そうでないものを不文法と言います。
不文法の例は、判例や慣習法などがあります。

近代法治国家の原則的な法形式は、成文法です。成文法のメリットは法的安定性に有用であるということですが、具体的妥当性を犠牲にするデメリットがあります。
またメリットとして、社会の構成員に行動基準を示したり、裁判官に裁判の基準を示したりすることができますが、時代の変化に即応できないと言うデメリットもあります。

一般法と特別法


適用領域の限定された法が特別法であり、限定されない法が一般法です。
法律と法律、条例と条例などの、同一の法形式では、特別法が一般法に優先することになっています。(これを特別法優先の原則といいます。)

新法と旧法


新たに制定された新法が、それ以前に制定されていた旧法に優先する原則もあります。
では、新しく制定された新法が一般法で、それ以前に制定されたいた旧法が特別法であった場合はどうなるのでしょうか?この場合は、特別法であることが優先され、旧法であっても特別法が一般法より優先されます。

実体法と手続法


実体法は、法律関係の内容を定める法のことを言います。これに対して、実体法が定めた法律関係を実現する手続を定めたものを手続法といいます。例えば、民法・刑法は実体法であり、民事訴訟法・刑事訴訟法は手続法です。


憲法・法律・命令


憲法について


憲法については以前のページで説明してきましたが、再度おさらいを兼ねてもう一度確認しておきましょう。憲法は国の最高法規です。日本国憲法の改正には、通常の法律の改正よりも厳格な手続きが定められています。このように通常の法律よりも改正手続きが厳格な憲法を硬性憲法といいましたね。

法律について


法律とは、国会の制定する法のことです。法律を制定する国家機関は、国会だけであり、法律の制定過程に他の機関が関与してはならないのが原則です。法律の所管事項は、憲法が直接規定している事項を除き、法律の形式によって規律すべき事項のあらゆる分野にわたることができます。

命令について


命令というのは、行政権が制定する法の総称です。命令には、内閣が制定する政令、各省大臣が制定する省令などがあります。


法の効力

法の公布・施行


法は、公布されて施行期日が到来すると、効力を生じます。施行の時期が定められていれば、その時から法は発動します。法令は、施行期日について規定しているのが、通例であり、公布の日を施行期日とする場合もあります。
施行時期が定められていない法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行されます。法令の公布は、慣行として官報によることとされています。


法律不遡及の原則


法律は制定または改正前の事実に適用されることはないのが原則です。これを法律不遡及の原則と言います。既にある権利を尊重して、安定性を図るためです。ただし、その権利を侵害しない場合やそれ以上の政策的に必要性のある場合に関しては例外が認められます。

法の適用範囲

法令の効力の及ぶ範囲


日本の法令は、基本的に属地主義をとっており
日本の法令の効力のが及ぶのは、原則として日本の領域内です。日本の法律の効力は日本国内(領地・領海・領空)にのみ及ぶのが原則です。
例外として、日本の法令の効力が、領域外に及ぶこともあります。例えば


渉外事件に適用される法


渉外事件


渉外事件というのは、複数の国に関わる事件のことです。複数の国に関わるので、どこの国の法律を適用して、その事件を解決するかが問題となります。適用される法律次第で、日本の裁判所が外国の法令を適用して裁判することもあれば、逆に外国の裁判所が日本の法令を適用して裁判をすることもあります。

契約の準拠法


外国人が日本で締結した契約も、法律行為の一つであり、法の適用に関する通則法では、「法律行為の成立および効力は当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法律による」と定められていますので、契約の成立や効力については、当事者の意思によります。簡単に言うと、当事者が日本の法律を選択した場合には、日本の法律率が適用されるということです。


婚姻の準拠法


外国人が日本で婚姻する場合は、婚姻の成立については、各当事者につき、その本国法(それぞれの自分の国籍地の法律)によります。
婚姻の効力については、夫婦の本国法が同一であるときは、その本国法によります。夫婦の常に居んでいる土地の法律(これを常居所地法という)が同一であるときは、その法律が適用されます。同一でないときは、夫婦に最も密接な関係がある土地の方が適用されます。


 次は、民法の代理制度の分野について紹介しています。
 ➡【リンク】2. 法令用語と法の解釈


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