【行政書士試験・商法・会社法】15. 組織再編
今回は、商法・会社法の分野の「組織再編」について勉強していきましょう。
組織変更
組織変更とは何か
いったん設立した株式会社を持分会社に変えることができます。また、逆に、持分会社を株式会社に変えることもできます。このように、会社が法人格の同一性を維持しながら、別の種類の会社になることを組織変更といいます。
組織変更手続
組織変更をするときには、法定事項を定めた組織変更計画を作成し、総株主または総社員の同意を得なければなりません。また、会社債権者の保護手続を行う必要もあります。
会社法779条
1項
組織変更をする株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、組織変更について異議を述べることができる。
2項
組織変更をする株式会社は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第三号の期間は、一箇月を下ることができない。
一 組織変更をする旨
二 組織変更をする株式会社の計算書類(第435条第2項に規定する計算書類をいう。以下この章において同じ。)に関する事項として法務省令で定めるもの
三 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
3項
前項の規定にかかわらず、組織変更をする株式会社が同項の規定による公告を、官報のほか、第939条第1項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。
4項
債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該組織変更について承認をしたものとみなす。
5項
債権者が第2項第三号の期間内に異議を述べたときは、組織変更をする株式会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該組織変更をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
組織変更の効力は、組織変更計画で定めた効力発生日に発生します。
会社法745条
1項
組織変更をする株式会社は、効力発生日に、持分会社となる。
会社法747条
1項
組織変更をする持分会社は、効力発生日に、株式会社となる。
事業譲渡
事業譲渡って何?
事業譲渡とは、事業所、ノウハウ、得意先といった財産を丸ごと譲渡し、事業活動を受け継がせることです。
事業譲渡によって生じるのは、資産と負債の特定承継です。
特定承継とは、ここの権利義務を個々の原因によって取得することです。そのため、譲渡の対象を自由に選別することができます。しかし、各々について移転する手続きをしなければなりません。
事業譲渡後の規制
事案を譲渡した会社は、原則として、同一の市町村の区域内及び隣接する市町村の区域内において、事業を譲渡した日から20年間、同一の事業を行うことができません。
会社法21条
1項
事業を譲渡した会社(以下この章において「譲渡会社」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(東京都の特別区の存する区域及び地方自治法 (昭和22年法律第67号)第252条の19第1項 の指定都市にあっては、区。以下この項において同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から二十年間は、同一の事業を行ってはならない。
事業を譲り受けた会社が、譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、原則として、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負います。
会社法22条
1項
事業を譲り受けた会社(以下この章において「譲受会社」という。)が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
株式会社の事業譲渡
1. 全部調達
株式会社がその事業を全て譲渡する場合は、原則として譲渡会社および譲受会社において株主総会の特別決議による承認が必要です。
会社法467条
1項
また、取締役会を設置する会社なら、重要な財産の処分や譲受に、取締役会決議が必要ですから、譲渡会社および譲受会社の取締役会決議があることも、事業を全て譲受するための要件となります。
2. 一部譲渡
株式会社が事業の一部を譲渡する場合、譲渡する資産の帳簿価格が譲渡会社の総資産の額の5分の1を超えないときは、株主総会の承認は不要です。しかし、それを超えて、重要な一部に当たるときは、原則として譲渡会社において株主総会の特別決議による承認が必要です。
全部譲渡の場合と一部譲渡の場合は異なり、譲受会社においては、株主総会の特別決議による承認は必要ありません。ただし、取締役会を設置する会社であれば、譲渡会社だけでなく、譲受会社も、取締役会決議が必要となります。
会社法362条
4項
取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
1 重要な財産の処分及び譲受け
2 多額の借財
3 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
4 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
5 第676条第1号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
6 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
7 第426条第1項の規定による定款の定めに基づく第423条第1項の責任の免除
3. 反対株主の株式買取請求権
株主総会の特別決議を要する事業の譲渡について、反対株主に株式買取請求権が認められています。事前に反対を通知し、株主総会においても反対した株主は、会社に対して、所有株式を公正な価格で買い取るように請求できるのです。
会社法469条
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