8. 代表取締役
今回は、商法・会社法の分野「代表取締役」について勉強していきましょう。
代表取締役とは?
代表取締役とは、取締役の中から選定され、会社を代表する機関をいいます。一般的に社長といわれる立場の人です。取締役会が設置されない会社では、原則として、取締役が会社を代表する機関となります。
代表取締役の権限
1. 業務執行権
代表取締役には、会社の業務を執行する権限があります。代表取締役は、株主総合決議・取締役会決議で決められた事項を執行します。また、日常の業務など、取締役会から委譲された事項について、自ら意思決定し、執行することもできます。
2. 代表権
代表取締役には、会社を代表する権限があり、対外的に会社を代表します。代表取締役が複数いる場合、各自が単独で会社を代表します。
会社法349条
1項
取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2項
前項本文の取締役が二人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。
代表取締役の代表権は、会社の業務に関する一切の裁判上・裁判外の行為に及ぶ包括的なものです。
会社法349条
4項
代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
そのため、代表権を制限しても、善意の第三者をに対抗することはできません。
会社法349条
5項
前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない
ただし、取締役と会社の訴訟については、監査役が会社を代表します。
表見代表取締役
会社が、代表権を与えていない取締役に、社長・副社長など世間から見れば代表権があるように見える名称をつけた場合、その取締役を表兼代表取締役といいます。
表見代表取締役の行為については、会社は、善意の第三者に対して責任を負わなければなりません。
会社法354条
株式会社は、代表取締役以外の取締役に社長、副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、当該取締役がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負う。
そのような名称をつけた会社には、帰責性がありますから、代表取締役らしい外観を信じた第三者を保護しようというわけです。
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