2019年12月2日月曜日

【行政書士試験・商法・会社法】16. 合併について

16. 合併について


【行政書士試験・商法・会社法】11. 合併について


今回は、行政書士試験の商法・会社法の分野「合併」について勉強していきましょう。


合併


合併とは何か


合併とは、複数の会社が、契約によって1つの会社に合体することをいいます。

合併には、吸収合併と新設合併があります。


①吸収合併

吸収合併というのは、1つの会社が存続し、他の消滅する会社を吸収する場合をいいます。


②新設合併

新設合併とは、全ての会社を消滅させて、1つの新しい会社を設立する場合をいいます。


合併の手続


1. 合併契約の締結


合併をするためには、まず、当時会社間で、法定事項を定めた合併契約を締結しなければなりません。

会社法700条 
1項 
社債発行会社は、社債券が発行されている社債をその償還の期限前に償還する場合において、これに付された利札が欠けているときは、当該利札に表示される社債の利息の請求権の額を償還額から控除しなければならない。ただし、当該請求権が弁済期にある場合は、この限りでない。 
2項 
前項の利札の所持人は、いつでも、社債発行会社に対し、これと引換えに同項の規定により控除しなければならない額の支払を請求することができる。

2. 株主総会の特別決議による承認


合併契約で定めた効力発生日の前日までに、それぞれの当事会社において、株主総会の特別決議による承認を得なければなりません。

会社法783条 
1項 
消滅株式会社等は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、吸収合併契約等の承認を受けなければならない。


会社法795条 
1項 
存続株式会社等は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、吸収合併契約等の承認を受けなければならない。


会社法804条 
1項 
消滅株式会社等は、株主総会の決議によって、新設合併契約等の承認を受けなければならない。


3. 反対株主の株主買取請求権


合併に反対の株主には、株式買取請求権が認められています。

会社法785条

会社法797条

会社法806条

合併承認決議が成立した場合、その決議前に反対の意思表示をし、かつ合併承認決議に反対した株主は、株式買取請求権を行使できます。


4. 会社債権者保護手続


合併の各当事会社は、原則として、債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨などを官報公告し、知れている債権者に各別に催告しなければなりません。ただし、公告を官報への掲載に加え、日刊新聞紙への掲載または電子公告でする場合には、各別の公告は必要ありません。

会社法789条

会社法799条

会社法810条



合併の効果


合併の効力が発生するのは、吸収合併の場合は、合併契約で定めた効力発生日です。

会社法750条 
1項 
吸収合併存続株式会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継する。


これに対して、新設合併の場合は、新設会社の成立の日(設立登記の日)に、合併の効力が発生します。

会社法754条 
1項 
新設合併設立株式会社は、その成立の日に、新設合併消滅会社の権利義務を承継する。


合併によって消滅する会社の権利義務は、法律上当然に、全て一括して、存続会社または新設会社に移転します。

会社法750条 
1項 
吸収合併存続株式会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継する。


会社法752条 
1項 
吸収合併存続持分会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継する。


合併の無効


合併の手続に瑕疵があった場合に、合併の無効を主張するには、合併の効力が生じた日から6ヶ月以内に、合併無効の訴えを提起しなければなりません。
訴えを提起できるのは、各当事会社の株主、取締役、合併を承認しなかった債権者などです。

合併を無効とする確定判決には、対世効があり、第三者にも効力が及びます。

会社法838条 
会社の組織に関する訴えに係る請求を認容するw:確定判決は、w:第三者に対してもその効力を有する。


しかし、遡及効はなく、合併は、将来に向かって効力を失います。

会社法839条 
会社の組織に関する訴え(第834条第一号から第十二号まで、第十八号及び第十九号に掲げる訴えに限る。)に係る請求を認容する判決が確定したときは、当該判決において無効とされ、又は取り消された行為(当該行為によって会社が設立された場合にあっては当該設立を含み、当該行為に際して株式又は新株予約権が交付された場合にあっては当該株式又は新株予約権を含む。)は、将来に向かってその効力を失う。


会社分割


会社分割というのは、会社(分割会社)がその事業に関してもっている権利義務の全部または一部を会社から切り離して、既存の別の会社(承継会社)あるいは新しく設立する会社(新設会社)に包括的に承継させることです。権利義務を既存の別会社に承継させる場合にを吸収分割といいます。これに対して、新しく設立する会社(新設会社)に承継させる場合を新設分割といいます。

株式会社と合同会社は、分割会社になれますが、合名会社と合資会社は、分割会社になれません。

会社法757条 
1項
会社(株式会社又は合同会社に限る。)は、吸収分割をすることができる。この場合においては、当該会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継する会社(以下この編において「吸収分割承継会社」という。)との間で、吸収分割契約を締結しなければならない。


会社法762条 
1項 
一又は二以上の株式会社又は合同会社は、新設分割をすることができる。この場合においては、新設分割計画を作成しなければならない。


承継会社には、すべての種類の会社がなれます。


株式交換・株式移転


株式交換とは、株式会社がその発行済株式をすべてほかの会社または合同会社に取得させることです。

株式移転とは、株式会社がその発行済株式を全て新たに設立し株式を全て新たに設立する株式会社に取得させることです。

合名会社と合資会社は、完全親会社にはなれません。

会社法767条 
株式会社は、株式交換をすることができる。この場合においては、当該株式会社の発行済株式の全部を取得する会社(株式会社又は合同会社に限る。以下この編において「株式交換完全親会社」という。)との間で、株式交換契約を締結しなければならない。


合同会社も、株式移転によって新たに設立される完全親会社にはなれません。

会社法772条 
1項 
一又は二以上の株式会社は、株式移転をすることができる。この場合においては、株式移転計画を作成しなければならない。 
2項 
二以上の株式会社が共同して株式移転をする場合には、当該二以上の株式会社は、共同して株式移転計画を作成しなければならない。



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