大阪市売春取締条例事件/最大判昭37.5.30
大阪市売春取締条例事件の内容
Aさんは、売春を行う目的で大阪市内において通行人を勧誘したことから「街路等における売春勧誘行為等の取締条例」の2条1項に違反したとして起訴されましたが、Aさん側は、本件条例違反者に対する罰則の根拠となる地方自治体法14条1項および3項(当時の5項)は、条例に対する授権の範囲が不特定かつ抽象的であり、その結果、一般に条例でいかなる事項についても罰則を付することが可能となるから、罪刑法定主義を定めた憲法31条に違反するものであるとして、無罪を訴えた。
地方自治体法14条
1項
普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる。
3項
普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。
憲法31条
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
大阪売春事件の争点
法令に特定の定めがあるものを除くほかは、地方公共団体がその条例の中に条例違反者に対して、一定範囲の刑罰を科する旨の規定を設けることができると定める地方自治法14条およびそれに基づく本件条例は、罪刑法定主義を定めた憲法31条に違反しないか?
判決のポイント
憲法31条に違反しない。
条例で刑罰を定める場合は、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されていれば足りる。
地方自治法14条3項のように、限定された刑罰の範囲内で条例をもって罰則を定めることができるとしたのは、憲法31条の法律の定める手続きによって刑罰を科すもので、同条に違反しない。
➡【リンク】最高裁判所HP・・ 昭和31(あ)4289
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