2019年6月22日土曜日

加持祈祷事件って何?行政書士試験頻出の重要判例・・・憲法により保障されない宗教的行為

【重要判例】加持祈祷事件/最大判昭38.5.15



どうもTakaです。今回は宗教的行為として精神障害の治療のために加持祈祷を行い、患者を死亡するに至らしめるような場合でも、憲法20条1項により宗教的行為として保障されるのかが問題となった加持祈祷事件を紹介したいと思います。

第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

加持祈祷事件の内容


僧侶Aさんは、精神障害の治療のために、Bさんに対して加持祈祷を行ったが、その結果Bさんは急性心臓麻痺により死亡し、Aさんは傷害致死罪(刑法205条)の有罪判決を受けた、その為、Aさんは信教の自由を理由に上告した。

※この際に行った加持祈祷とは以下のような内容でした。
僧侶AさんはBさんを取り押さえ、手足を縛り、無理に燃えさかる護摩壇の近くに引き据えて線香の火に当らせた。さらに、Aさんは怒号を発しながらBさんの喉を線香の火でけむらせ、背中を殴りつけたりしたそうです。

加持祈祷事件の争点


精神障害の治療のために加持祈祷を行い、患者を死亡するに至らしめるような場合でも、憲法20条1項により保障される宗教的行為といえるのか?

判決のポイント


他人の生命、身体に危害を及ぼす違法な行為は、憲法20条1項の信教の自由の保障の限界を逸脱している。つまりこの際の加持祈祷は、憲法により保障されないということです。

【リンク】最高裁判所HP( 昭和36(あ)485)

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札幌税関検査事件って何?行政書士試験頻出の重要判例・・税関でのわいせつ物の輸入規制は検閲に当たる?憲法に違反する?

【重要判例】札幌税関検査事件/最大判昭59.12.12

税関検査事件を税関と書かれた絵にて表す


どうもTakaです。今回は検閲の意義やわいせつ表現物の輸入規制は、憲法21条に違反するのかが争点となった札幌税関検査事件を紹介したいと思います。

税関検査事件の内容


外国から性行為を撮影した映画・書籍等を郵便で輸入しようとしたAさんは、函館税関札幌税関支署長から関税定率法の定める輸入禁制品に該当する旨の通知を受けた。そこでAさんは、函館税関長に異議申し出をしたが、棄却されたため、当該通知及び棄却決定の取り消しを求めて提訴した。

税関検査事件の争点


1. 憲法21条2項で禁止される検閲の意義とは何か?
2. 輸入手続において税関職員が行う検査は検閲に当たるのか?
3. 税関検査によるわいせつ表現物の輸入規制は、憲法21条1項に違反するのか?
4. 合憲限定解釈の可否

判決のポイント


検閲は以下の通りに解釈されます。

①行政権が
②思想内容等の表現物を
③発表の禁止を目的に
④発表前に行われるものである。

検閲は憲法21条2項により、絶対的に禁止されています。

第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

しかしながら・・

1. 輸入書籍等は外国ですでに発表済みのものであるから、税関検査は検閲の定義を満たさず、検閲に当たらない。

2. わいせつ表現物の輸入を規制することは、公共の福祉に合致するから憲法21条1項に反しない。

3. 一定の要件の下で、合憲限定解釈(条文の文言の意味を限定することによって、違憲判断を避ける方法)が許容される。

規制された表現物は国外ですでに発表済みであり発表の機会が全面的に奪われるものではないこと、税関検査は思想を規制するものではないこと、税関長の通知には司法審査の機会が与えられており行政権が最終ではないことから、憲法第21条2項にいう検閲にはあたらないとされました。


【リンク】最高裁判所HP・・ 昭和57(行ツ)156

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東大ポポロ事件って何?行政書士試験頻出の重要判例

【重要判例】東大ポポロ事件/最大判昭38.5.22


どうもTakaです。今回は大学の有する学問の自と自治の内容が問題となった東大ポポロ事件を紹介したいと思います。

東大ポポロ事件の内容


東京大学の公認学生団体である「ポポロ劇団」が、大学内で松川事件(昭和24年に福島県の東北線松川駅付近で起こった列車転覆事件であり、労働組合員や共産党員が逮捕・起訴された事件)を題材とした演劇を上映していました。その際に、学生のAさんが演劇会場に潜伏していた私服警官を発見し、身柄を拘束するとともに暴行を加えたため、「暴力行為等処分に関する法律」に違反したとして起訴されました。

東大ポポロ事件の争点


1. 大学の有する学問の自由と自治の内容は何か?
2. 大学の有する学問の自由と自治の保障は学生にも及ぶか?

判決のポイント


大学の学問の自由と自治は、直接には、教授その他の研究者の研究、その結果の発表、研究結果の教授の自由とこれらを保障するための自由を意味する。

学生は、教授の有する学問の自由と自治の効果として、学問の自由と大学の自治の保障を受けるにすぎない。よって、学生の集会が学問的な研究またはその結果の発表のためのものではなく、実社会の政治的または社会的活動に当たる行為をする場合には、大学の有する自由と自治は共有しないといわなければならない。


【リンク】最高裁判所HP・・ 昭和31(あ)2973

2019年6月21日金曜日

禁煙処分事件って何?行政書士試験頻出の重要判例・・拘置所等における喫煙を禁止する規則は憲法に違反する?

【重要判例】禁煙処分事件/最大判昭45.9.16


禁煙処分事件

どうもTakaです。今回は、受刑者、刑事被告人や被疑者等で拘置所等に拘禁中の者の喫煙を禁止する規則は憲法13条に違反しないかが争われた禁煙処分事件について紹介したいと思います。

禁煙処分事件の内容


未決勾留中であったAは、旧監獄法施行規則96条に基づき喫煙を禁止されたため、国を相手に、禁煙処分によって精神的苦痛を被ったとして国家賠償請求の訴えを提起した。

禁煙処分事件の争点


在監者に対して喫煙を禁止する旧監獄法施行規則96条は、憲法13条に違反するか?

第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

判例のポイント


喫煙の自由はあらゆるとき、所において保障されなければならないものではないので、未決勾留者の喫煙を禁止する規定は、憲法13条に違反しない

【リンク】最高裁判所HP・・ 昭和40(オ)1425

2019年6月19日水曜日

ノンフィクション「逆転」事件って何?行政書士試験頻出の重要判例

【重要判例】ノンフィクション「逆転」事件/最判平6.2.8




どうもTakaです。今回はノンフィクション作品において前科等をみだりに公表されない権利は法律上の保護に値するのかという問題が裁判となったノンフィクション「逆転」事件を照会したいと思います。

ノンフィクション「逆転」事件の内容


Aさんは、傷害罪の実刑判決を受けた後、就職・結婚を経て平穏な暮らしを過ごしていましたが、後にBさんが執筆したノンフィクション小説「逆転」によって、その実名を掲載され、前科に関わる事実を公表されました。そのため、AさんはBさんに対して、プライバシー侵害を理由に損害賠償請求訴訟を提起しました。

ノンフィクション「逆転」事件の争点


ノンフィクション作品において前科等を公表されないという利益は、法律上の保護に値するのか?

判決のポイント


1. 前科等を公表されない利益は、法的保護に値する。前科は、だれでも最も隠しておきたい個人情報のひとつであること。

2. 前科等にかかわる事実を公表されない法的利益が優越する場合には損害賠償を求めることが認められる



なお、追記ですが、
現在刊行されている『逆転』(岩波現代文庫)ではAさんの名前は仮名表記になっているそうです。

2019年6月18日火曜日

前科照会事件って何?行政書士試験頻出の重要判例

【重要判例】前科照会事件/最判昭56.4.14


どうもTakaです。今回は前科等をみだりに公表されない権利は法律上の保護に値するのかという問題が裁判となった前科照会事件を紹介したいと思います。

前科照会事件の内容


Aさんは、自動車教習所で職員として働いていましたが解雇されたました。Aさんは教習所を相手取って地位保全(労働者が使用者に対して雇用契約上の地位を有することを仮に定めるとの裁判所の判断を求める手続)の仮処分を申請しました。これを受けて教習所側の弁護士が弁護士会を通じて区役所にAさんの前科・犯罪経歴の照会を行った。そして、区長さんが、弁護士会からの前科等の照会に応じたことにより、前科を公表されてしまいました。そこで、Aさんは、区長の行為を過失による公権力の行使であるとして国家賠償請求訴訟を提起した。

前科照会事件の争点


みだりに前科等を公表されないという権利は、法律上の保護に値するのか?

判決のポイント


前科等は人の名誉や信用に直接かかわるので、前科等あるものもこれをみだりに公開されない法律上の保護に値する権利を有する

【行政書士試験】一般的基本権と参政権・受益権・・トレーニング問題

【行政書士試験】一般的基本権と参政権・受益権のトレーニング問題


テスト


●次の問のうち正しいものには○、誤っているものには×をつけなさい。

★幸福追求権


(1)すべて国民は個人として尊重される、と憲法に明記されている。

○…憲法13条。国民が個人として尊重されることは、国家が基本的人権を尊重するための大前提である。


(2)国民の生命、自由、幸福追求に対する権利は、絶対的な保障が憲法の条文でうたわれている。

×…「公共の福祉に反しない限り」という留保つきで,立法や国政で最大の尊重を必要とするとされている(憲法13条後段)。

第十三条 
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。


★プライバシーの権利


(3)プライバシー権は、憲法に明記されていないので、憲法上の権利としては主張できないと考えられている。

X…憲法に明記されていない権利でも,憲法13条の幸福追求権を根拠として主張されている。


★法の下の平等


(4)すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、年齢、国籍、社会的身分または門地によって、政治的・経済的・社会的関係において差別されない、と憲法に明記されている。

x…憲法14条の平等原則だが、14条に「年齢」と「国籍」は明記されていない。実際に未成年者の法律行為は成人より制限されるなど年齢による差別があり、外国人の入国は日本人より制限されるなど国籍による差別もある。

第十四条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。


(5) 何人も承諾なしに写真撮影をされない自由があり、警察官が正当な理由もなしに個人を撮影することは、憲法13条の趣旨に反する。条例違反の学生デモを警察官が撮影することは許されないか?

 x…(条例違反という)犯罪が行われた場合で、その証拠保全の必要
性や緊急性があり、撮影が一般的に許容される方法で行われたときは、 憲法13条に違反しない


(6)日本人の父と外国人の母との間に生まれた子は、父と母が結婚していない場合、父に認知されたとしても、日本国籍を取得することができない。

x…日本人の父に認知をされれば、父母が結婚をしていなくても、子は日本国籍を取得できる。
【重要判例】国籍確認請求事件


(7)市区町村など行政の区割りを基本として選挙区をきめるため、1人の国会議員を選ぶ選挙人数に相当な差がでるとしても、 仕方のないことであり、最大 4.4 倍の差があったとしても憲法違反ではなく、選挙自体も無効とはならない。

×…国会議員1人当たりの有権者数に最大 4.4 倍の差があることは、憲法14条に違反し、違憲である。ただし、選挙自体は無効とはしない。
【重要判例】議員定数の不均衡訴訟
議員定数の不均衡訴訟最高裁は、選挙自体は無効とはしないが、違憲と判断した。


(8)刑務所(刑事施設)において、喫煙を希望して喫煙を禁止することは憲法13条の希望する受刑者に対する幸福追求権に違反する。

×…喫煙による火災発生・逃亡の恐れや、タバコは時好品にすぎないことなどから、禁煙程度の制限は合理的な制限であり、憲法13条に違反しない

(9)犯行当時に実名報道された犯罪事件に関して、相当の年月が経ってからまた実名報道をしてもプライバシーの侵害には当たらない。

×…犯行当時に実名報道された事件でも,相当の年月が経った後にまた実名報道をすることは特別な理由がない限りプライバシーの侵害に当たる。
【重要判例】ノンフィクション「逆転」事件


(10)スピード違反をした自動車に同乗していただけで、スピード違反を教唆したわけでもない同乗者を、自動速度監視装置 (オービス)が運転手とともに写真撮影をしてしまった場合、プライバシーの侵害に当たる。

×…自動速度監視装置(オービス)の写真撮影は,スピード違反という犯罪の証拠を保全した行為であり,運転手の近くにいるために除外で きない同乗者をいっしょに写真撮影したとしても憲法13条に違反しない。
【重要判例】自動速度監視装置事件


(11)民法 900条で非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1と規定しているが、これは憲法に違反しない。

〇…「法律婚の尊重」と「非嫡出子の保護」の調整をはかったもので 憲法に違反しない。


(12) 女性にのみ前婚の解消の日から6か月間の再婚禁止期間が設けられていることは、法の下の平等を保障する憲法に違反する。

× …民法733 条の規定であるが,懐胎した子の父を明確にして、父子関係をめぐる紛争を未然に防ぐためであり、違憲ではない。


(13)男性より女性のほうが年齢の低い男女別の定年制を定めた会社や団体などがあるとしても、体力や社会的な要請の違いなどからかんがみて、定年の差が5歳程度なら不合理な差別とはいえない。

×…女性ということで、通常の職務であれば,企業経営上要求される職務遂行能力に欠けるところはない。女性の定年年齢を男性より低く定めることは、女性であることのみを理由とする不合理な差別である。
【重要判例】日産自動車事件


(14) 社会保障上の施策で、福祉的給付を行う場合、日本国民を在留外国人より優先的にあつかうことは、憲法14条1項、憲法 25条に抵触し許されない。

×…社会保障上の福祉的給付を行う場合、日本国民を在留外国人より優先的にあつかうことは許される。憲法14条1項・25条に違反しない。
【重要判例】塩見訴訟


(15)在外邦人の選挙権が制限されることは物理的に仕方のないことであり、在外邦人が、選挙区での投票をすることはできず、選挙権が比例のみに限られていることは違憲とまでは言えない。

×…比例での在外選挙が実現しているように、選挙区の投票も困難とはいえず、在外邦人の選挙権が比例のみに限られていることは違憲である。


(16)憲法13条以下で保障される諸権利のなかで、「国民」を主語としている権利については、日本に在留する外国人に対して保証が及ばないとするのが判例である。

×…憲法第13条の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみを
その対象としているものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ。
【重要判例】マクリーン事件


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