2019年6月18日火曜日

4. 一般的基本権と参政権・受益権のまとめ

4. 一般的基本権と参政権・受益権のまとめ


どうもTakaです。このページでは憲法の一般的基本権と参政権・受益権について紹介しています。

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< おしながき ― まとめ >
・幸福追求権
憲法13条の幸福追求権には、新しい人権を根拠づける機能がある。
前科や犯罪経歴をみだりに公表することは許されない。
警察官が、正当な理由もなく、孤児の容貌を撮影することは許されない。
氏名・住所などを、本人の意思に基づかずに、みだりに開示することは許されない。

・法の下の平等
法の下の平等の原則は、法の内容自体が平等であることを求めている。
法の下の平等とは、合理的な差異を許容する相対的平等です。
華族その他の貴族の制度は、禁止されている。

・参政権
憲法は選挙権を保障しており、やむを得ない事由がない限り、選挙権の行使を制限できない。
謙虚資格の平等だけではなく、投票価値の平等も、憲法上の要請である。
議員定数の格差による投票価値の不平等が合理的でない場合、選挙権の平等の要請に反し、合理的期間内に是正されない場合には違憲となる。

・受益権
公務員の不法行為による損害について、国家賠償請求権が認められている。
抑留または拘禁された後、無罪の裁判を受けた場合、補償を請求できる。
請願を受けた機関は、その内容を審理判定する義務を負うわけではない。



幸福追求権



幸福追求権って何?


幸福追求権とは、個人の尊厳の原理に基づく一般的・包括的な権利です。
通説としては、個人の人格的生存に不可欠な利益を内容とする権利の総体をいいます。
(人格的利益説)
憲法13条では、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」をうたっています。
そのため、時代の変遷と共に生まれてきた新しい人権を根拠づける機能があるとされています。

第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

プライバシーの権利



1.プライバシーの権利って何?


プライバシーの権利とは私生活をみだりに公開されない権利であるというのが判例や伝統的な学説です。しかし、プライバシーの権利は自己についての情報をコントロールする権利であるとする説が有力になっています。

2.前科・犯罪経歴


前科や犯罪歴は、人の名誉・信用に直接関わる事項であり、これらをみだりに公開されない利益は、法律上の保護に値すると言うのが判例です。そして判例では、市町村長が漫然と弁護士会の照会に応じて、前科等のすべてを報告することは、公権力の違法な行使に当たると言っています。
しかし、判例では、その事実を公表することに歴史的または社会的意義が認められる場合、その者の社会活動の評価の資料として必要な場合、そして、社会一般の正当な関心の対象となる公的立場の人物であって、そのものが適任者か否か等の判断の資料とする場合には、前科等に関する事実を公表することも許されるといっています。

3.容貌・姿態(肖像権)


何人にも、承諾なしに、みだりに容貌・姿態を撮影されない自由があります。
そのため、判例は、警察官が正当な理由もなく個人の容貌等を撮影することは、
憲法13条の趣旨に反し、許されないと言っています。
ただし、現行犯であって、緊急の必要性があり、撮影の方法が正当な場合には、
近くにいた第三者の要望を含むことになっても、例外的に許されるというのが判例です。

この問題が有名な判例となったのが京都府学連違法デモ写真撮影事件です。
【重要判例】京都府学連違法デモ写真撮影事件/最大判昭44.12.24

※オービス(自動速度監視装置)は肖像権に違反しないか?
オービス(自動速度監視装置)によって、速度違反車両の運転手の容貌を写真撮影することについて、判例は、現に犯罪が行われている場合であり、その犯罪の性質・様態から緊急に証拠を保全する必要があり、加えて、その方法は一般的に許容される限度を超えない相当なものだから、仮に同乗者の容貌を撮影することになっても、憲法に違反しないといっています。

この問題の判例となったのが自動速度監視装置事件です。
【重要判例】自動速度監視装置事件/最判昭61.2.14

4.指紋


憲法13条により、みだりに指紋の押捺(おうなつ)を強制されない自由が保障されています、判例では、在留外国人にも、みだりに指紋の押捺を強制されない自由の保障が等しく及ぶといっています。しかし、外国人登録法のかつての指紋押捺制度は、在留外国人の公正な管理という正当な目的に基づき、一般に許容される限度を超えない相当な法律によるものだから、憲法13条に違反しないといっています。

この問題が有名な判例となったのが、外国人指紋押なつ拒否事件です。
【重要判例】外国人指紋押なつ拒否事件/最判平7.12.15

5. 氏名・住所・電話番号


氏名・住所・電話番号・学籍番号についても、プライバシーに係る情報として法的保護の対象になるといのが判例です。

自己決定権


自己決定権とは、一定の指摘事項について、権力の干渉を受けることなく、自ら決定することのできる権利をいいます。こちらも憲法13条によって保障される権利である


法の下の平等



法の下の平等って何?


憲法14条1項は、「すべての国民は、法の下に平等」と定めています。「法の下に平等」という原則は、だれであっても法律には拘束され、法律上あくまで平等に取り扱われるという考え方です。これには、立法者をも拘束し、法の内容自体が平等であることを求めているというのが多くの学者の考え方です。

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

形式的平等


多数説は、憲法14条1項が求めているのは、実質的平等ではなく、形式的平等であると言っています。結果を平等にする必要まではなく、一律同等に扱えばよいというのです。

相対的平等


憲法14条1項が要請する平等は、例外を許さない絶対的平等ではなく、合理的な差異を許容する相対的平等であると解されています。相対的平等は、同一の事情と条件の下では均等に取り扱うことを意味しています。

【重要判例】サラリーマン税金訴訟

憲法14条1項後段の列挙


憲法14条1項後段の列挙は、例示的列挙にすぎず、列挙以外の自由による差別も、原則として許されないというのが判例です。
憲法14条1項後段の「人種」とは、人間の人類学的種類であり、国籍は含まれません。そして、「社会的身分」とは、社会において継続的に占める地位を意味し、高齢であることは、これに当たらないというのが、判例です。また、「門地」とは、家柄のことです。

第14条 1項 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。


貴族制度・栄典授与


憲法14条2項は、貴族の制度を禁止しています。また、憲法14条3項は、栄典(栄誉をあらわすために授与される位階や勲章など)の贈与にはいかなる特権も伴わないと定めています。

第14条 2項 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
第14条 3項
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。


参政権





選挙権



参政権と言うのは、国民が主権者として政治に参加する権利の事です。
憲法15条1項は、国民に選挙権を保障し、公務員の選定・罷免が究極的に国民の意思に基づくことを求めています。

第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

選挙の基本原則


1.普通選挙


憲法15条3項は、成年者による普通選挙(財力等を選挙資格に必要なものとして求めない選挙制度)を保障しています。

第15条 3項
公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する

2.平等選挙


憲法14条1項・44条は、平等選挙を求めています。
平等選挙とは、複数投票制などの不平等選挙を否定し、投票を1人1票とするとともに、1票の重みの平等をも要請する制度です。これはまた与えた選挙権の内容(投票の価値)をも平等であることを求めるものです。

第14条 すべて国民は、の下に平等であつて、種、信、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
第44条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。


3.秘密選挙


憲法15条4項では、秘密選挙(誰に対して投票したのかを知られないこと)を保障しています。判例では、議員の当選の効力を定める手続きにおいても、誰に投票したかを調べてはならないともいっています。

第15条 4項
すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

議員定数の不均衡


議員定数の配分については、国会の裁量に委ねざるを得ません。
しかし、国会において通常考慮できる諸般の要素を斟酌しても、その投票価値の不平等に合理性がるとは考えられない場合には、憲法に違反すると、判例では言っています。ただし、定数格差が選挙権の平等の要請に反すれば、直ちに憲法違反というわけではありません。判例は、合理的期間内に是正されない場合に初めて意見になると言っています。

受益権



受益権とは何か?


受益権とは、人権を確保するために、国家に対して作為(何かしらの行動)を求める権利です。国務請求権ともいいます。裁判を受ける権利・国家賠償請求権・刑事補償請求権および請願権(国または地方公共団体の機関に対して、国務に関する希望を述べる権利)がこれに当たります。

裁判を受ける権利


憲法32条は、裁判を受ける権利を保障しています。ここで言う裁判は民事事件、刑事事件や行政事件の裁判も含まれます。

第32条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

国会賠償請求権


憲法17条は、公務員の不法行為による損害について国または公共団体の賠償責任を認め、被害者の救済を確実なものにしようとしています。ただし、憲法17条を直接の根拠として、国家賠償を認めることはできません。国家賠償請求権の行使には、法律の制定が必要です。

第17条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。


刑事補償請求権


刑事補償請求権とは、本来必要でないのに、抑留や拘禁という人権制限を受けたものに対して、相応の保証を行い、公平を図ろうとするものです。憲法40条では、抑留または拘禁された後に、無罪の裁判を受けた場合には補償請求を認めています。

第40条 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。


請願権


請願権とは、国務に関して希望を述べる権利のことです。請願の対象は範囲が広く、憲法改正の請願を行うこともできます。ただし、請願を受けた期間は、それを誠実に処理すればよく、その内容を審理判定する義務を負うわけではありません。

第16条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

次は、憲法の精神的自由について紹介しています。
➡【リンク】5. 精神的自由

外国人指紋押なつ拒否事件って何?行政書士試験で頻出の重要判例

【重要判例】外国人指紋押なつ拒否事件/最判平7.12.15


指紋の絵

どうもTakaです。梅雨のシーズンに入ってきましたね。
今回は指紋の押なつは憲法で保障されるのかという問題が裁判になった、外国人指紋押なつ拒否事件を紹介したいと思います。

外国人指紋押なつ拒否事件の内容


日系アメリカ人のAさんが、外国人登録原票、登録証明書等に押なつをしなかったため、
旧外国人登録法に違反したとして起訴された事件です。

外国人指紋押なつ拒否事件の争点


1. 指紋押なつを強制されない自由は、憲法13条で保障されるか。
2. 旧外国人登録法の指紋押なつ制度は、憲法13条に違反するか。

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

※外国人登録法の指紋押なつ制度は、平成11年に廃止された。
なお、平成19年11月から、改正出入管理及び難民認定法に基づいて、特別永住者などを除いた16歳以上の外国人は、日本に入国するときに、指紋と顔写真を提供した上で、入国審査官の審査を受けることになった。


判例のポイント


何人もみだりに指紋の押なつを強制されない自由を有する。
⇒みだりに指紋の押なつを強制されない自由

指紋押なつ制度の立法目的には十分な合理性があり、その必要性も肯定でき、方法としても一般的に許容される限度を超えない相当なものであるので、憲法13条に違反しない。


判旨(最高裁判所HPより抜粋)

一 何人も個人の私生活上の自由の一つとしてみだりに指紋の押なつを強制されない自由を有し、国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは、憲法一三条の趣旨に反し許されない。

二 我が国に在留する外国人について指紋押なつ制度を定めた外国人登録法(昭和五七年法律第七五号による改正前のもの)一四条一項、一八条一項八号は、憲法一三条に違反しない。

【リンク】最高裁判所HP・・ 平成2(あ)848
 
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2019年6月17日月曜日

自動速度監視装置事件って何?行政書士試験で頻出の重要判例・・・オービスの写真撮影は肖像権違反になる?

【重要判例】自動速度監視装置事件/最判昭61.2.14

一般道路では30 km/h以上、高速道路では40 km/h以上の速度超過で撮影される。

どうもTakaです。今回は自動速度監視装置による写真撮影が憲法13条に違反するかという問題が裁判となった自動速度監視装置事件について紹介したいと思います。

自動速度監視装置事件の内容


Aさんが、最高時速50kmとされていた道路を、時速121kmで車で走っていました。
ちょうどその時、自動速度監視装置によってその状況を写真撮影され、道路交通法違反で起訴されたという事件でした。

自動速度監視装置事件の争点


自動監視装置による速度違反車両の運転者、同乗者の容貌の写真撮影は、憲法13条に違反するのか?

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

判決のポイント


容貌の写真撮影は以下の条件を満たせば、同意・令状がなくても許される。
1. 現に犯行が行われている状況で
2. 犯罪の性質から緊急に証拠保存をする必要性があり、
3. 方法が一般的に許容される限度を超えないもの

⇒関連する判例は【重要判例】京都府学連事件

自動速度監視装置事件による速度違反車両の運転者、同乗者の容貌の
写真撮影は、憲法13条に違反しない。合憲である。


2019年6月16日日曜日

猿払事件って何?行政書士試験で頻出の重要判例・・・政治的中立性を損なう恐れのある公務員の政治的行為の禁止

【重要判例】猿払事件/最大判昭49.11.6


ポスターを張る人

どうもTakaです。
今回は国家公務員の政治活動を一律に禁止する
国家公務員法等は、政治活動の自由を保障する
憲法21条に違反しないかという点が裁判となった、
猿払事件を紹介したいと思います。

猿払事件の内容


北海道猿払村の郵便局で機械的業務に従事する
郵便局員のAさんが日本社会党を応援する目的で、
勤務時間外に、選挙用ポスターを公営掲示板に提示したり、
そのポスターを他の人に配布してなどした。
この行為が、公務員の政治活動を禁止する
国家公務員法102条1項および人事院規則14-7に
違反するとして、Aさんが起訴された。

猿払事件の争点


国家公務員の政治活動を一律に禁止する国家公務員法等は、
政治活動の自由を保障する憲法21条に違反しないか?

第二十一条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

判決のポイント


合憲である。
国家公務員の政治活動の一律禁止が、
合憲か合憲ではないかを判断するには
次の3点から検討することが必要とされました。

1. 禁止の目的
⇒行政の中立的な運営と、これに対する国民の信頼の確保。

2. この目的と禁止される政治的行為との関連性
⇒公務員の政治的行為を一律に禁止する手段は、目的と合理的関連性がある。

3. 政治的活動を禁止することにより得られる利益と
禁止することにより失われる利益とのバランス

⇒公務員の政治的行為の禁止によって得られる利益と、
失われる利益とのバランスは取れている。得られる利益の方が大きい。

公務員の政治活動を刑罰によって禁止する措置は、
目的が正当であり、禁止目的との間に合理的な関連性があり、
またこれにより得られる利益は失う利益よりも大きい。

よって、国家公務員法102条1項および人事院規則14-7は
憲法21条に違反せず合憲である。


➡【リンク】最高裁判所HP・・ 昭和44(あ)1501

2019年6月15日土曜日

南九州税理士会政治献金事件って何?行政書士試験頻出の重要判例

【重要判例】南九州税理士会政治献金事件/最判平8.3.19

税理士業務を行うために税理士登録すると、事務所の地域の税理士会の会員に強制的になる


南九州税理士会政治献金事件の内容


南九州税理士会は、税理士法改正運動の為に政治団体に寄付する資金として、会員から特別会費を徴収する決議を行ったが、会員Aさん達はこの会費を納入しなかった。その後、Aさん達は、会の役員選挙の選挙権をはく奪された。このため、Aさん達は、特別会費納入義務の不存在確認と慰謝料の支払いを求めて訴えを提起した。

裁判の争点


強制加入団体である税理士会において、会員に政治献金のための協力義務を課することは、会員の思想・良心の自由を侵害するものであり、政治献金をすることは税理士会の目的外の行為ではないのかと問われました。

判例のポイント


税理士会が政治献金(政党などの政治団体に寄付すること)することは税理士会の目的の範囲外の行為であり、そのために特別会費を徴収する決議は無効である。
税理士会は強制加入の団体
(加入しないと仕事できない)
脱退の自由がない
➡会社とはその法的な性格が異なる
・・・この点が、八幡製鉄事件と異なる。
・会員の思想・良心との関係で会員に要請される協力義務にも限界がある。


➡【リンク】最高裁判所HP( 平成4(オ)1796)

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2019年6月13日木曜日

日産自動車事件って何?行政書士試験で頻出の重要判例・・・企業における男女別定年の適法性

【重要判例】日産自動車事件/最判昭56.3.24



どうもTakaです。今回は、企業における男女別定年の適法性が争われ、私人間効力については間接適用説について判断が下された日産自動車事件について紹介したいと思います。

日産自動車事件の内容


日産自動車では、就業規則で女性の定年年齢を男性より低く定めていました。この規定に基づき定年退職を命じられた女性Aさん達が、雇用関係の存続の確認を求めて訴訟を提起したという裁判です。

争点


企業の就業規則中、男女で異なる定年年齢を定めることは、憲法14条、民法90条に違反しないか?
※民法90条は、「公の秩序または善良の風俗(公序良俗)に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」という規定。

裁判のポイント


女性の定年年齢を男性より低く定めた就業規則は、専ら女子であることのみを理由とした差別でした。
男性か女性かという性別のみによる不合理な差別であったとして、憲法14条1項の趣旨に反し、民法90条により無効である。との判断が下されました。
この判例は、間接適用説の具体例となりました。

※人権の私人間効力についての間接適用説
私法の一般条項(民法90条等)に、憲法の趣旨を取り込んで解釈することによって、
間接的に私人間の行為に適用するという考え方。

憲法 ⇒ 民法 ⇒ 企業のルール

➡【リンク】最高裁判所HP( 昭和54(オ)750)



京都府学連事件って何?行政書士試験頻出の事案・・・肖像権にかんする事案

【重要判例】京都府学連事件/最大判昭44.12.24


どうもTakaです。今回は肖像権を初めて認めた事例としても知られる、
重要判例である京都府学連事件を紹介します。

京都府学連事件の内容

学生Aさんは、京都府学連主催のデモ行進に参加していましたが、
行進中に、行進の仕方が許可条件に反すると判断した警察官が、
状況等の確認のためデモ隊を写真撮影しました、Aさんはこれに抗議して、
警察官に暴行を加え、公務執行妨害罪などで起訴されました。

※この許可条件とは『行進隊列は4列縦隊とすること』及び
『車道の東側端を進行すること』という条件でした。

京都府学連事件の争点

1. 肖像権は憲法上の人権として保障されるのか。
2. 警察官が被写体の同意なく写真撮影する行為は許されるのか?

裁判のポイント

1. 保障される。
何人も、その承諾なしに、みだりにその容貌を撮影されない自由を有し、
警察官が正当な理由もないのに個人の容貌等を撮影するのは、
憲法13条の趣旨に反し許されないこと(肖像権)は保障されると判断されました。
しかしながら、肖像権は公共の福祉による制限を受けることも示され、
下記のような制限のもとでは撮影したとしても憲法13条35条に
違反しないものと解するべきであると判断されました。
⇒肖像権は、憲法13条で保障される。しかし、公共の福祉によって制限される。

2. 写真撮影する行為は許される
肖像権が公共の福祉に よる制限を受ける場合
犯罪が現に行われていて、証拠保全の必要性・緊急性があり、
その撮影が一般的に許容される限度を超えない場合