2020年3月20日金曜日

皇居前広場事件って何?行政書士試験の重要判例・・特定の期日に対する訴えの利益は、その期日を経過すれば喪失するか?

皇居前広場事件/最大判昭28.12.23

最終更新日:2020年3月20日




今回は、特定の期日における公園の使用を求める申請に対する不許可処分の取消訴訟は、当該期日の経過により判決を求める法律上の利益が失われるかどうかが問われた皇居前広場事件について紹介したいと思います。

皇居前広場事件の内容


昭和26年(1951年)の日本は、講和問題や賃上げ問題などをめぐって全般的に労働運動・学生運動が復活の動きを見せた年であり、全国で労働運動が高揚していました。日本最大の労働組合だった日本労働組合総評議会は、昭和26年11月10日付で、昭和27年5月1日のメーデーのために皇居外苑の使用許可を求める申請を厚生大臣(今の厚生労働大臣にあたる)にしましたが、大臣は、国民公園管理規則4条に基づき、昭和27年3月13日にこれを不許可としました。このため、評議会は、当該処分が表現の自由を保障する憲法21条や就労者の団結権を保護する憲法28条に違反しているとして、その取り消しを求めて出訴しましたが、その訴訟の係属中(ある事件が裁判所で訴訟中であること)に本件申請に関わる同年5月1日が経過したことから、第二審の東京高等裁判所は、それにより原告が処分の取り消しを求める権利保障の利益がなくなったとして請求を棄却した為、日本労働組合総評議会が上告した事件です。


皇居前広場事件の争点


公園使用についての不許可処分の取り消しを求める訴えについては、使用すべき日が経過することにより判決を求める法律上の利益が失われることなるか?


判決のポイント


特定の期日における公園の使用を求める申請に対する不許可処分の取消訴訟は、当該期日の経過により判決を求める法律上の利益が失われる。

本件では、「5月1日」が過ぎれば、訴えの利益がなくなるということになる。



➡【リンク】最高裁判所HP・・  昭和27(オ)1150

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2020年3月3日火曜日

交通反則金の納付通告と取消訴訟って何?行政書士試験の重要判例・・反則金の納付通告は、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟の対象となるか?

交通反則金の納付通告と取消訴訟/最判昭57.7.15


警視庁HPより抜粋


交通反則金の納付通告と取消訴訟の内容


大阪府警の警察官から駐車違反の事実を指摘されたAさんは、それが自己の行為によるものではないことを主張したため、現行犯逮捕され身柄を拘束された。そのためAさんは、早期釈放を願って翌日に反則金を仮納付し釈放されたが、後日、大阪府警察本部長から仮納付を本納付とみなす効果を持つ反則金納付通告を受けた。

そこで、Aさんは、駐車違反者につき事実誤認があることを理由として、当該反則金納付通告の取り消しを求めて出訴した。


交通反則金の納付通告と取消訴訟の争点


道路交通法127条1項の規定に基づく反則金の納付通告は、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟の対象となるか?


判決のポイント


交通反則通告制度は、反則金の納付の通告を受けた者が任意に反則金を納付したときは刑事訴追を行わないが、一定期間内に反則金の納付がなかったときは本来の刑事手続きを遂行させることとする制度である。通告を受けた者がその自由意志により通告に係る反則金を納付したときは、抗告訴訟によってその効果を覆すことは許されず、当該通告の理由となった反則行為の不成立を主張したいのであれば、反則金の納付をしないまま、後日の公訴提起を待って刑事訴訟手続の中で争うべきである。

したがって、当該通告に対して行政事件訴訟法による取消訴訟を提起することは、不適法である。



➡【リンク】最高裁判所HP・・ 昭和55(行ツ)137